風に吹かれすぎて

今日はどんな風が吹いているのでしょうか

サンタ・フェ(初めてのアメリカ5)

2016年06月09日 | 旅行
「初めてのアメリカ」シリーズは書いていても面白いのですが、行った町順に書いていくというのは面白くないので、
アトランダムに思いついたまま、思いついたときに今後は書いていきたいと思います。

今日はサンタ・フェです。
まだ宮沢りえの写真集で有名になった「サンタフェ」は発売されていませんでしたので、何の予備知識もなく行きました。

バスディーポからその夜の宿のユースホステルまでは地図で見てもかなりの距離がありました。
そこはどういうわけか予約なしでも泊まれるユースホステルでした。
重い荷物を持ってそこまでテクテク歩いたわけですが、期待に膨れ上がっていて苦痛でも何でもありません(笑)。

ようやくそこに着き、チェックインをしました。
詳細は覚えていませんが、何かフレンドリーな雰囲気が溢れかえっているようなところでした。
荷物を置いて、ラウンジに出ていろいろ見てみると、毎日毎日いろいろなイベントを活発に催しているユースでした。
たまたま次の日はプエブロ・インディアンの遺跡を巡るツアーというのがありましたので、迷わず申し込みました。
プエブロ・インディアンという名称は聞いたこともありませんが、値段も安く、参加しました。

で、次の日、世界各国からの旅行者と共に、遺跡巡りのツアーに出ました。
15-6名の人数で2-3台の車に分乗したような記憶があります。

赤茶けた広大な大地に、しっかりと遺跡の痕跡がありました。
巨大な洞窟を利用した小さな都市です。
英語がよく理解できなかったため、詳細はよく分かりませんでした。
砂漠を車で移動しているわけですが、当然喉が渇きます。
何も用意していなかったぼくは困ったなーと思っていました。
すると前の席にいたイギリス人の若者が飲むかと言って、水のペットボトルを差し出してくれました。
この人は人の心を読むことのできる超能力者かと思いました。
サンキュー、サンキューとへいこらしながら、ぐびぐびと飲ませてもらいました。

何か所か遺跡を巡りました。
それはそれ自体でとても興味深かったです。

で、最後にホットスプリング、温泉に行くということでした。
砂漠に温泉、全く想像が付きません。
車はどんどん砂漠の奥へ奥へと行きます。
温泉というのは、なんの施設もなく、池みたいなところに湯が沸いていました。
日も暮れて、月も出ていました。
なんというシブいシチュエーションなんだろうかと思いました。

で、みんな何の躊躇もなく素っ裸になってその温泉に入り始めるわけです。
世界各国の男女の若者が主体です。
ぼくは仮にも日本男児です。
眼鏡をかけたまま入りたかったのですが、動機が見え見えなので、潔く外しました。
何も見えません。
インドから来た信じられないようなグラマラスな身体をした女性が月明かりの下で、ぼくのすぐ横の今に腰かけています。
何も見えません。
あーあと思いながら、どうせ見えないのならと後方にじりじりとにじり寄って行ったら、白人男性の身体に身を寄せていました。
ぼくもびっくりしましたが、彼もその上をいってビックリしていました。
ソーリーソーリー、とヘコヘコ謝りながら平常心を取り戻そうとしました。
赤茶けた大地を照らすサンタフェの月です。

ちなみに、先導役のユースの主人はいつの間にか消えていました。
フランスから来た若い女性も消えていました。
数十分後に何事もないように、全員で帰路につきました(笑)。

そこのユースはほぼ毎日いろいろなイベントを企画実行しているようでした。
次の日、少し遅く起きたらだれもいませんでした。
どこかにみんなで出かけたのでしょう。
ロービーには飲み放題のコーヒーがありました。
コーヒーを飲んでいると、そこにしばらく住んでいるという若い白人女性が大きなテーブルに同席しました。
なんかいろいろおしゃべりしました。
「大草原の小さな家」というテレビドラマが好きだといったら、とても喜んで「私もだ」と答えました。

その他、つたない英語で
もう行かなくちゃと言うと、バスディーポまで送ってくれるといいます。
支度をして、彼女の車に乗り込みました。
後部座席にはごみ溜めの様に一切合切が積み込まれています。
おそらくこの車が彼女の家なのでしょう。
言葉を失いながらも、彼女にバスディーポまで送ってもらいます。
バスディーポに着いて、荷物を背負い、さようならというと彼女は両手を広げて、「ハグ!」と言います。
ぼくは当時ハグという言葉の意味を知りませんでした。
彼女はさらに腕を広げて「ハグ、ミー!」と言いました。
さすがにぼくも察しました。
手を回すと彼女の身体は意外にも細く、もろそうでした。
何か言葉をかけたかったのですが、英語ですからどうしようもありません。

そのまま彼女と分かれました。

バスに乗ってから、彼女のやせ細った身体を思い、ごみ溜めの様なボロ車を思い、彼女の表情を思いました。
出発前のユースのロビーで、神とは何かという話になりました。
ぼくは知りもしないくせに「宇宙の意思だ」と答えました。
彼女はふふっと笑いました。
何かとても切ない思いになり、しばらくその切なさは消えませんでした。



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