鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

ビロードキンクロ(その2) <em>Melanitta fusca (deglandii)</em> 2 (陸地ショートカット飛翔について)

2012-03-09 17:19:44 | カモ類
Photo
All Photos by Chishima,J.
(以下すべて ビロードキンクロ 2012年2月22日 北海道厚岸郡浜中町)

 半月ほど前、道東の岬で海鳥を観察していた時のこと。極端な低温のため内湾側には広い範囲に沿岸氷が張り、それが風や波の影響を受けて移動し、海ガモたちをせわしなく移動させていた。その様をしばらく眺めていて、岬を挟んで移動飛翔する際、陸地より高くまで上がって陸地をショートカットして飛ぶのは、専らビロードキンクロとウミアイサの2種であるのに気付いた。当日は6種類の海ガモ類(クロガモ、ビロードキンクロ、シノリガモ、コオリガモ、ホオジロガモ、ウミアイサ)が観察されたが、高度を上げての陸地ショートカットは上記2種だけだったように思う。数の上ではビロードキンクロの10倍くらいいたクロガモは海面低くを、岬では沖側へ迂回する形で飛び、シノリガモやコオリガモも同様であった。先頭の1羽と後ろの2羽がオス成鳥で、真ん中の4羽はメスタイプ。


Photo_2


 ヨーロッパの海鳥図鑑を紐解くと、本種の飛翔について「しばしばクロガモより高く飛び、(大群の形成の仕方同様)この点でもホンケワタガモに似る」とあった。どうやらビロードキンクロが高く飛ぶ習性は、一般的なものらしい。それが何に起因するのかはわからないが、クロガモより細長く、丸みを欠く体型や安定感のある羽ばたき等が関連しているのだろうか?別カットより後ろ側の羽を切り抜いたもの。


Photo_3


 先頭側4羽を、また別カットより切り抜いたもの。先頭のみオス成鳥。嘴付け根の瘤や目後方の白い三日月状斑は、光線条件が良ければこの程度の距離でも目立つ。次列風切の白は、翼下面より上面においてより顕著。頭部はクロガモのような丸みはなく山状で、首もやや長く見える。


(2012年3月9日   千嶋 淳)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿