tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

リーマンショック1年

2009年09月14日 11時45分50秒 | 経済
リーマンショック1年
 昨年の9月15日、リーマンブラザーズが連邦破産法第11条の適用を申請をしてから明日で丁度1年、このリーマンショック1年でアメリカ経済、そして資本主義の発展の方向についての人々の考え方は変わったのでしょうか。

 たしかに、先日のG20のコミュニケに見るように、過度な投機資金の跳梁跋扈については、その演出家であり主役でもある投資銀行やヘッジファンドのあり方は、その幹部の 巨額報酬問題もふくめて、国際的に批判的な眼差しにさらされていることは事実です。
 しかし、マネー資本主義の本質問題を抉り出して、衆人の面前、白日に曝すような突っ込んだ論議はあまり見られず、何か隔靴掻痒といった感じではないでしょうか。

 アメリカに関するニュースを見ても、地道に預金獲得と貸し出しをしているような中小の金融機関は相変わらずの惨状で、他方、マネーゲームで一敗地にまみれたような人たちが、巻土重来を狙って、新たな金融商品の開発を目論み、年金基金などの巨大マネーを再び集め始めているといった様子が伺われます。

 アメリカでも極端な金利低下で、ケインズの言う「流動性の罠」状況になり、マネーは付加価値創造の分野では行方を失い、残る手段はマネーゲームによるキャピタルゲイン獲得という方向が必然になっているのでしょうか。
 実体経済の疲弊と、資本のマネーゲームへの流れが改めて目立つように思います。

 実体経済の回復には時間がかかります。しかしマネー市場の回復は人間の射幸心次第です。しかも資本は毀損したとはいえ、まだ蓄積は巨大です。そこで、差しあたっては、時間と手間のかかる実体経済の回復で資本を生かす努力より、マネー市場の回復で毀損した資本の回復を図るという方法を、政府の対症療法の効果を視野に、願望する人は多いのでしょう。
 しかし、これでは元の木阿弥です。今度の世界金融恐慌から何も学ばなかったことになります。

 ガイトナーさんのテレビに映る顔色を見ていても、気のせいでしょうか、何となくアメリカはまた同じ失敗の道を歩きそうな印象を受けてしまいます。

 ところで、日本の経営者はもともと実体経済の健全な成長を重視し、「 長期的視点の経営」を旨としてきました。失敗を繰り返しそうなアメリカ金融セクターを、もうあまり当てにせず、実体経済の成長を本気で追求している国ぐにとのお付き合いを中心に経済を考えていく事が大事になるのではないでしょうか。


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