tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「転んでもただでは起きるな」再考

2020年06月24日 22時55分03秒 | 文化社会
「転んでもただでは起きるな」再考
 去る2月の26日、新型コロナが企業の活動に影響を与え始めたころ「 転んでもただでは起きるな」を書きました。

 意識していたのは、このブログの基本的な考え方でもある「人類の進歩はその知恵を生かしたイノベーション(技術革新)から」という信念のようなものです。
 新型コロナの感染に最大限の防護策を講じながら、何とか企業活動を続けるという命題が企業に与えられたわけです。

 相手はウィルスですが、新型で、対抗する医薬品は存在しないという状況の中で、この命題に対応するのは企業としては容易ではありません。ウィルスは放射能と同じで、見えません。存在を教えてくれるガイガーカウンターに相当するものもありません。

 解っているのは、感染者の咳・くしゃみ、・大声の発声などで出された唾液の飛沫が最も恐ろしいらしいこと、しかし、感染者が掴んだ手すりやドアのノブからも濃厚接触は起こり得るという事になりますと、直接、間接を問わず、出来るだけ人と接触しないことが安全となるわけです。

 さて、企業で人と接触せずに効率的に仕事をこなすことはどうしたら可能かという問題が起こり、「満員電車」に乗ってでも「人間同士の緊密な接触」が効率的な仕事に通じると考えられていた日本企業の仕事のシステムはまさに困難に直面することになりました。

 しかし勿論、従業員の健康や生命の方が重要ですから、やむを得ず、在宅勤務やテレビ会議、様々な形のリモートワークのシステムを開発し、関連する機器の開発も促進され、対人接触中心型の仕事システムを変えてきたというのが実情でしょう。

 結果を見ますと、在宅勤務でも効率が落ちない、却って効率が上がるといった面もあるようで、ある意味では(長時間通勤不要もあり)今までの物理的な人的接触中心から、ネットの活用も含めて、より合理的(無駄が省けるという意味で)な(業務上の、またそれを補完する人間的な)人間関係の維持促進が可能になるといった側面でも多様な収穫があったといった話も聞くところです。

 かつてより、日本企業は直接部門は生産性が高いが、間接部門の生産性の低さがとトータルの生産のレベルを引き下げているといったことが言われ、間接部門の効率化が叫ばれて久しいのですが、人間の行動変容はなかなか難しく、何か成果に乏しい感じを受けていました。

 図らずもと言いましょうか、今回の新型コロナ問題で、状況に強いられて行った行動変容が、間接部門の効率化に役立つといった面があり、企業がそれに敏感に気づき、間接部門の生産性向上に役立てることが出来たとすれば、結果は「転んでもただでは起きなかった」という事になるのでしょう。

 さらに、そうした思わざる成果を超えて、未だに混迷している新型コロナ対策の中から、こうした予期せざる事態への対応の在り方を「的確に先見する」方法論を学ぶことが出来れば、これは日本社会にとっても、もちろん世界にとっても大きな収穫になるのではないでしょうか。

 2002・3年に流行したサーズの教訓を生かして積み上げた対応策が新型コロナで大きく役立ったというのがドイツの経験だそうですが、いま第2波が来るか来ないかと論議される中で、政府、企業、家庭、あらゆる社会経済主体の経験の積み上げを先見性に結実させるような動きの活発化が望まれます。

 最近のニュースでは、新型コロナ対策に関して、「スパコン『富岳』の活用」やユニクロ創始者の柳井氏の京都大学への研究資金100億円の私財提供」といった注目すべきものもあります。
京都大学の山中教授は「大変ありがたいことです、同時に責任も痛感しますと仰言っていましたが、こうした中から、更に多くの、新型コロナ対策も含め、社会・経済活動のより効率的なあり方への多様な成果が生まれることを期待できるような気がしています。

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