tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政府の物価対策、価格機構の働きを阻害

2023年03月06日 11時37分49秒 | 経済
このブログでは消費者物価の動きを毎月トレースして来ていますが、昨年に入ってじりじりと上昇に転じ年末に至って4%台まで上がりました。

直接の原因は海外からの原油・LNGなとのエネルギー、穀物などの飼料や加工食品の原材料の値上がりです。

それに加えて、これまで、長年のコストアップの価格転嫁が出来なかった業界(加工食品やサービス部門など)が、我慢の限界」と一斉に値上げに踏み切ったことも大きな原因になったようです。

しかし、こうした動きもそろそろ一巡し、エネルギー価格などの値下がりと共に、値上げムードもそろそろ鎮静化かという段階に達したようです。

今はこうした時期にあるのですが、政府は「今月中に追加の物価高騰対策を」と言い出しています。

中身は「国民生活や企業活動を支援するため、今月中に追加の対策をまとめ、今年度予算の予備費も活用するなどして速やかに実行」という事だそうで、何か「人気取り」(統一地方選挙を目指して?)のような胡散臭さを感じます。

政府にしてみれば、電気料金の値上げを控え、これ以上物価高騰が続いたら大変だと慌てているのかもしれませんが、政府がこうした見当違いの政策を打つことが、正常な経済活動による、価格機構の価格形成を阻害することは明らかです。

昨年の原油価格高騰時も政府は慌てて元売りに補助金を出しましたが、これは正常な価格形成よりも元売りの収益増になったようで、史上最高益の企業なども出たようです。

価格というものは上がるべき時に上り、下がるべき時に下がって、初めて正常な経済活動が維持されるので、政府の物価対策は、余程の緊急時の緊急避難に限るべきです。

状況に確りした分析もなく人気取りで予備費をばら撒くことは、国家予算(政府のカネはもともと国民のカネなのです)の無駄遣いで、不公平なカネの分配を助長し、経済の正常な活動を混乱・阻害して、自由経済の長所を歪めてしまうのです。

自由民主党は、自由経済の長所を確りと活用し、場当たり・人気取りの政府の再分配活動で格差社会化を助長するようなことはしないのが党是でしょう。

公明党は、国家予算によるGDPの再分配活動は、あくまでも国民にとって公明なものでなければならないというのが党是ではないのでしょうか。

この3月に至って物価問題を緊急課題として、人気取りのバラマキをすることは、物価動向についての不勉強と、国家予算を党利党略に使うのではないかと「李下に冠を正す」ことになる可能性にも十分配慮してほしいと思うところです。

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