tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

安倍政権の経済・労働政策を振り返る・2

2020年08月30日 22時59分31秒 | 政治
安倍政権の経済・労働政策を振り返る・2
 2015年、安倍さんは「新3本の矢」という構想を打ち出しました。
 
1)希望を生み出す強い経済、2)夢をつむぐ子育て支援、3)安心につながる社会保障がそれですが、これは最初の3本の矢が軌道に乗った上での新しい目標というより、成功したあのは金融政策だけで、財政政策は増税と財政健全化の狭間でうまくいかない、成長戦略は投資・消費ともに思ったほど伸びないといった状の中で、目先を変えたという事だったのでしょう。

 この時は1917年の消費税増税は予定通り実行という姿勢でしたので、その財源で、子育てや社会保障の充実は可能と思っていたのかもしれません。

しかし前回も指摘しましたように、それを支える経済成長が結局うまくいかなかったのです。結局は0.5%成長レベルに収斂してきています。(コロナでのマイナスは別)

新3本の矢でも最初の「希望を生み出す強い経済」がないと、後の2本は実現しません。
 この辺りは安倍政権の特徴でしょうか、耳には快い言葉が踊りますが、中身不明の造語や用語法で当面の人気を、というケースがどうも多いようです。

 結果から言えば、昨2019年の消費増税の一部を使って二本目の矢の中の幼児教育無償化は何とか実現できましたが、3本目の安心の社会保障の基本である年金は「100年安心年金」という言葉が出来ましたが、言葉だけですし、経済成長のベースの「 積極的平和主義 」という造語も「積極的」の中身はよく解らないという事のようです。

 「安心につながる社会保障」について付け加えれば、基盤はまず年金でしょうが、 GPIFに年金積立金の株式運用を委託してまで危ない投機の橋を渡っています。投機ですから安心につながらない事は明白です。

 経済成長を何とかしようと、地方創生や特区活用などにも力を入れましたが、結果的には森友学園や加計学園のようなことが起き、長時間の国会審議を、本当の経済成長論議とは全く関係ないことに費やしましたし、3か所予定の カジノ誘致は、トランプさんの意向尊重かもしれませんが、方向違いの中国との担当副大臣の贈収賄問題で揺れています。

 自民党のルールを変えてまで長居した総理の座の第3期目では幼児教育無償化が、1つ国民の記憶に残るのでしょう。

 労働問題に関しては、 働き方改革 が大きな問題でした。これは、労働時間の短縮による、生産性向上へのステップかとみていましたが、結果的には、労働時間短縮は、副業・兼業の推進という事で雲散霧消、同一労働・同一賃金がメインになって、結局、 日本の人間中心の経営を欧米流の仕事中心に変える気になっているようです。

 これは、 戦後の経験 によれば、戦後一部の経営者が欧米を視察し、職務給が合理的と教わり、帰国してその導入を推奨したのと酷似しています。
多分、結局は、企業の労使の知恵が勝り、日本的なものの中に咀嚼消化して、部分的に吸収、取り入れるという事になるのではないでしょうか。

 欧米流に変えると、 若年層の失業率ノは増え、コロナの時は失業率が突然2ケタになるようなことが起きることは労使とも熟知しています。 

 安倍政権、功罪相半ばと言いたいところですが、経済、労働といった問題でも、新造語で飾り、大風呂敷きを広げ過ぎ、さて後始末は・・・、という事が多かった感じです。

 最後に、言葉や生き方の問題ですが、安倍一族には、丁寧、真摯、万全、などなど言葉の誤用が多かったこと、また 最後までしらを切り通すこと が最も得策といった思考回路の流行など、今後、政治の世界だけでなく一般社会でも問われなければならない問題を生み出したことも付け加えたいと思います。

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