tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2%インフレ目標と円レートの関係

2018年03月12日 11時43分37秒 | 経済
2%インフレ目標と円レートの関係
 今朝は日経平均が一時450円ほども上がりました。マネーゲーマーたちはニコニコかもしれませんが、日本経済を取り巻く環境は予断を許さないような気がします。

 戦後、アメリカ自身が主導してきた「自由貿易推進による世界経済の発展」という世界が認めたスローガンを、ここに来て勝手に蹴飛ばし、関税障壁を掲げて、世界の顰蹙を買うトランプさんのことです。何か日本経済はまた苦労しそうな事にならなければ良いがと心配しています。

 黒田日銀総裁は再任され、2%インフレを実現しようと相変わらず頑張り、そのためには、さらに金融緩和も辞さないというスタッフも加えて 金融緩和路線をひた走るようですが、本当の狙いは、かつての黒田バズーカで成功した「異次元緩和による円高阻止」なのでしょう。

 確かに、2発の黒田バズーカは大成功でした。円レートは80円から120円になりました。日本経済は息を吹き返しました。しかし、第3弾のマイナス金利は3日しかもちませんでした。

 一方、アメリカは、イエレン路線で、出口戦略を進め、いよいよ金融正常化に入ろうという段階です。パウエル氏に替わって、利上げのペースが注目ですが、いずれにしても進捗が予想されます。

 そして、この時点で、トランプさんの「 ドルは高すぎる 」という発言があり、結局は「強いドルがいい」という従来路線になりましたが、現実はどうでしょう。
投機資本筋の説明はいろいろですが、利上げの思惑が出ても「ドル高・円安」にはならず、じりじりと円高傾向です。最近は容易に105円台まで円高が進む状態です。
金利と為替レートにおける経済の基本原則は、全く働いていません。

 「金融は正常化したいが、ドル高になっては困る」というアメリかの「本音」が、関税障壁を掲げての威圧や、 武器機購入の約束 、そして「世界最強の為替操作国」といわれるアメリカの金融戦略を駆使した「ドル高阻止策」に表れているのが現状でしょう。

 こうして、日銀の2%インフレ目標はかすみ、日本経済は異次元金融緩和による 金融システムの機能不全 というマイナスだけが残るといったことになりそうな状況すら見えて来ています。

 にも拘らず、「何かあれば円を買う」という為替トレーダーの心理を支えているのは、日本経済の経常(貿易)黒字体質、膨大な個人金融資産の存在でしょう。
 この潜在力を確りと活用できるような政策をとらない限り、いいかえれば、金融緩和だけですべての問題が解決するという思い込みがある限り、日本の家計も企業も、漠然とした将来不安から脱出出来ず、徒に苦労を重ねることになるのではないでしょうか。
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 今回のテーマとは全く関係ありませんが、近畿財務局で森友学園の件を担当された職員の方が自殺されたという報道がありました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

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