中国の所得倍増計画を読む: 1、計画は多目的?
中国が2011年からの5年間の所得倍増計画を検討していると報道されています。日本向けの情報提供記事でも、昭和34年に池田内閣が打ち出した所得倍増計画を参考にしているなどとも書かれています。しかし本当に目指すところはもう少し奥深いような気がしています。
先ず、日本の所得倍増計画は、国民所得の倍増計画でした。当時、労働組合(左翼系でなくても)などでは、「これは国民所得を2倍にする計画で、賃金を二倍にするとはいっていない。賃金を2倍にするにはわれわれ労働組合の努力が必要だ」といった論議がされていました。
しかし、今回の中国の計画を見ると、賃金を年に15パーセントずつ引き上げ、5年で2倍にするというのが大きな柱になっているようです。
「所得」の意味が違うのでしょうか、それとも、本来、賃金上昇が主目的で、国民所得自体は当然従来どおり10パーセント前後の高水準を維持すると前提しているのでしょうか。
それにしても、(実質)経済成長を15パーセントにしようと考えているとは思われませんから、所得倍増は名目値の話で、中国版は「名目所得倍増計画」なのでしょう。
だから日本の10年倍増計画を、中国では5年倍増としているのでしょう。
中国の所得倍増計画は、このように、名目値での倍増ですから、当然インフレ分を含みます。実質成長率を10パーセントと置けば、賃金上昇は15パーセントですから、近似的には、インフレ率は年5パーセントという事になります。
多分、中国は、今後多少のインフレを考えているのはないでしょうか。日本の高度成長期もそうでしたが、多少のインフレの方が実質経済成長も高くなる可能性があります。(おそらく、こうした経験が、「成長を取り戻すにはインフレターゲット」といった教条主義的主張になるのでしょう)
ところで、この中国版「名目所得倍増計画」によって、中国は何を狙っているのでしょうか。おそらく、一石何鳥というような「多目的」なものを考えているように思われてなりません。
単純に日本の高度成長期のような成長を目指しているのだろうといった論調が多いようですが、もう少し、戦略的に仔細に考えてみる必要があるような気がします。
中国は、日本の成功も失敗もつぶさに研究しているようですし、シンガポールの成功からも十分学んでいるはずです。
かつて日本は文字、文化、宗教、政治などなど中国から多くのことを学びました。今、新しい国際経済社会の中でも、中国から学ぶことが沢山あるような気がします。
中国が2011年からの5年間の所得倍増計画を検討していると報道されています。日本向けの情報提供記事でも、昭和34年に池田内閣が打ち出した所得倍増計画を参考にしているなどとも書かれています。しかし本当に目指すところはもう少し奥深いような気がしています。
先ず、日本の所得倍増計画は、国民所得の倍増計画でした。当時、労働組合(左翼系でなくても)などでは、「これは国民所得を2倍にする計画で、賃金を二倍にするとはいっていない。賃金を2倍にするにはわれわれ労働組合の努力が必要だ」といった論議がされていました。
しかし、今回の中国の計画を見ると、賃金を年に15パーセントずつ引き上げ、5年で2倍にするというのが大きな柱になっているようです。
「所得」の意味が違うのでしょうか、それとも、本来、賃金上昇が主目的で、国民所得自体は当然従来どおり10パーセント前後の高水準を維持すると前提しているのでしょうか。
それにしても、(実質)経済成長を15パーセントにしようと考えているとは思われませんから、所得倍増は名目値の話で、中国版は「名目所得倍増計画」なのでしょう。
だから日本の10年倍増計画を、中国では5年倍増としているのでしょう。
中国の所得倍増計画は、このように、名目値での倍増ですから、当然インフレ分を含みます。実質成長率を10パーセントと置けば、賃金上昇は15パーセントですから、近似的には、インフレ率は年5パーセントという事になります。
多分、中国は、今後多少のインフレを考えているのはないでしょうか。日本の高度成長期もそうでしたが、多少のインフレの方が実質経済成長も高くなる可能性があります。(おそらく、こうした経験が、「成長を取り戻すにはインフレターゲット」といった教条主義的主張になるのでしょう)
ところで、この中国版「名目所得倍増計画」によって、中国は何を狙っているのでしょうか。おそらく、一石何鳥というような「多目的」なものを考えているように思われてなりません。
単純に日本の高度成長期のような成長を目指しているのだろうといった論調が多いようですが、もう少し、戦略的に仔細に考えてみる必要があるような気がします。
中国は、日本の成功も失敗もつぶさに研究しているようですし、シンガポールの成功からも十分学んでいるはずです。
かつて日本は文字、文化、宗教、政治などなど中国から多くのことを学びました。今、新しい国際経済社会の中でも、中国から学ぶことが沢山あるような気がします。
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