tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

公共投資志向か? アベノミクスの新たな展開

2016年07月23日 09時56分39秒 | 経済
公共投資志向か? アベノミクスの新たな展開
 参院選の勝利で安倍政権は、自信満々で新たな政策展開を考えるようです。世論調査での国民の認識は「経済成長」と「社会保障」が二大課題のようで、安倍政権も改憲問題には、現状、直接の言及はしていません。
 
 深刻な課題、社会保障、子育て、高齢者介護は公約のような改善は容易でないと思いますが、経済活性化では新しい目玉ということでしょうか、リニア新幹線の大阪延伸前倒しの構想が出され、財政投融資3兆円という方針が出ました。

 世界に誇る日本の技術「リニア新幹線」国民には大人気ですから、一見狙いはいいのですが、東京、大阪間にリニアが走っても、日本全体の経済活性化にどれだけの影響があるのかはかなり疑問でしょう。

 東海道ベルト地帯の活性化のために、国の財政問題にも影響を与えかねないような建設投資をすることで、日本経済の本当の活性化、一億総活躍社会が実現するのでしょうか。東海道ベルト地帯一極集中で地域格差拡大のようなことが起きないでしょうか。

 現在の経済不振の根本的な原因が、格差社会化の進展による社会の劣化、結果としての将来不安がもたらす消費不振にあることが指摘されているのです。改めて借金財政による公共投資で景気浮揚というのは病状と薬が合っていないのではないでしょうか。

 財政投融資と名称は違っても、国債発行、国の借金には変わりありません。安倍さんは2020年のプライマリーバランス回復は「予定通り」と安易に言っていますが、消費増税を延期しても、リニア新幹線に3兆円出しても、財政再建に影響がないとは考えられませんし、その計算根拠の説明は全くありません。

 リニア新幹線は巨大な電力を消費します。以前、山梨の北辺のクリスタルラインという林道を車で走った時、なんでこんな林道を開発したのか調べましたら、リニア実験線のために柏崎刈羽原発から100万ボルトの送電線を引くので、その工事用の林道との解説があったのを記憶しますが、素人目にはエネルギー政策との整合性も懸念されます。 

 安倍政権は、国民の人気取りは上手のように思います。しかしその中で、現実には格差社会化は確実に進展し、貧困家庭の増加、家庭の財力による教育の不平等、高齢者の生活不安、家族内のトラブルの深刻化などは「何故?」と思えるほどに毎日のニュースを賑わせています。
 
 多くの面で、日本社会の現状と政策の視点とが 噛み合っていないように思われ、景気浮揚、社会保障の先行きが危ぶまれます。

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