tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

徹底した金融緩和指向の日銀

2020年07月09日 23時31分00秒 | 経済
徹底した金融緩和指向の日銀
 今日も黒田日銀総裁は、日本経済は大変な状況にある、日銀としては、さらに金融緩和を進める用意がある、という趣旨の発言をしています。

 黒田さんの就任以来の基本的な視点は、「円高は絶対に回避しなければならない」という強固な認識が基本と思われます。

 この考えには客観的な合理性があります。つまり、基軸通貨のドルが、表面的には「高いドルが望ましい」などといいながら、現実にはあわよくばドル安にしていく方が望まし師といった「内心」が隠されていると思うからです。

 日銀の錦の御旗はインフレ率2%が望ましいというアメリカと同じインフレターゲットを掲げていることでしょう。

 経験的にみても、日本のインフレ率はアメリカより低いのが通常です。今は世界中インフレになりにくい状況が一般的ですが、この目標(アメリカと同じインフレ率)を掲げておけば、アメリカから為替操作国といわれる筋合いはないと言えるでしょう。

 それでも現実は2016年あたりの$1=¥120から今は107円程度まで円高になっていますが、日本はアメリカよりインフレ率が低いですから持ちこたえています。
 日銀の徹底した金融緩和政策が無かったら、$1=¥100以上の円高になっているのではないかなどと思ったりします。

 しかし、この金融政策は多様な副作用を齎していることも事実でしょう。
 主なものを上げれば、ゼロ金利です。将来不安を持つ国民が一生懸命貯金をしても利息が付きません。
 
 政府はゼロ金利の預金より、株や投資信託のほうがいいですよとiDeCoや積み立てNISAを税の優遇で推奨していますが、これは半分投機ですから、キャピタルロスの危険がついて回ります。

 政府が年金資産の運用で頼りにしているGPIFですら、損を出しています。もともと、拠出は確定ですが、給付は不明という仕組みですから、「損もあり」なのです。玄人でも損するのですから、ならば素人においておやでしょう。

 もう1つは、金融の膨大な量的緩和です。新型コロナ対策の給付金などもあり、市場のお金はじゃぶじゃぶ、金利も安いので企業はにとっては大変ありがたいことです。

 しかし、昨年来経済は下降気味で、更に新型コロナの追い打ちで仕事がない産業や企業も多く、供給されたマネーの多くは日銀への預金になったりもしますが、iDeCoやNISAが推奨されているので、株や投信、つまりマネーゲームで稼ごうという方にも当然向かっていきます。

 そのせいか物価はがりませんが、日経平均は上がっています。アメリカの方が先輩ですが、株価など投機の方でバブル起きているという事なのでしょうか。そういえば先日発表の路線価(地価)も全面的に上がっていました。

 金融緩和は物価上昇にはつながっていませんが、マネーマーケットでのキャピタルゲイン狙いの方で日経平均の上昇につながっているようです。

 という事はインフレは株価や地価(この場合はインフレといわずバブルというようです)で起きているという事になり、バブルは何時か破裂して大変なことになるといわれます。

 日経平均は、アメリの「ダウ平均」に比べれば、まだ控えめのようですから、制御可能なのかもしれませんが、新型コロナで企業業績も経済成長もマイナス確定のような状況の中ですから心配の方も多いでしょう。

 この場では豪雨災害には触れませんが、新型コロナの第二波にも、政府は無手勝流のようで、国民は余程巧みに行動しないと、国民の生命財産は「自分で守れ」という事になってしまっているようで、何か怖さが嵩じて来るような感じです。

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