tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2016年1~3月期GDP速報

2016年05月18日 16時48分19秒 | 経済
2016年1~3月期GDP速報
 総務省は今日、2015年度の第4四半期のGDP第1次速報を発表しました。
同時に2015年度の通期の数字も出ています。(2015年度実質GDP成長率0.8%)

 マスコミの解説を見れば、実質成長率で前期比0.4パーセントの伸び、年率換算1.7パーセントで、2四半期ぶりのプラス成長ということになります。
 名目成長率は0.5パーセントで年率2.0パーセント、物価上昇分が0.5と0.4の差0.1パーセントですね。

 ただし、今年は閏年で2月が1日多かったので,その分を差し引くとほぼ横ばいといった見方もあるとの解説もあります。
 この説明では前四半期のマイナス成長から転じてプラスになり、先ずは目出度し目出度しということになりますが、それでいいのでしょうか。

 このブログでいつも見ていますように対前期ではなく、より傾向的な動きが見える対前年同期比で見てみますと、いささか違った景色が見えるように思います。

 対前年同期の実質成長率は、消費増税の影響の残る2015年1~3のマイナス1.0パーセントから4~6月以降プラスに転じ4~6月は0.7パーセント、7-9月は1.8パーセント10~12月は0.7パーセントのプラスでしたが、今年1~3月に至って—0.0パーセントになっています。つまり閏年にも拘らず、昨年の1~3月期より微減(四捨五入するとゼロになるマイナス値)という状況です。

 傾向的なプラスの実質経済成長が足踏み状態になってしまったというのが実態ではないでしょうか。
 原因は何かというと、GDPの中で最大のウエイトを占める「家計最終消費支出」がマイナス0.7パーセントと落ち込んだことでしょう。併せて民間企業設備もマイナス0.9パーセントと減少です。民間住宅のプラス2.0パーセント、政府支出のプラス0.9パーセントも焼け石に水です。

 安倍政権が標榜している「消費と投資のバランスのとれた成長」の消費と投資がともに縮小しているのです。これでは安定成長は期待できません。
 政府はいよいよ本気で、この「家計最終消費支出マイナス0.7」という状況からの脱出策を「国民に相談すべき」でしょう。金を使うのは国民です。

 ちなみに雇用者報酬は過去4四半期0.8%、1.6%、1.9%、2.7%と前年同期比で伸び率を上げてきています。家計は収入が増えても「使わない」という傾向が明らかです。この理由を国民に聞くことが大事でしょう。

 もう1つ、総務庁が<参考>として挙げている数字を見ますが、それはGNI(国民総所得)成長率です。これは過去4四半期3.0%、3.8%、2.0%、1.3%のプラスで、2015年度の成長率は2.5%です。
 GDP成長率との差は、海外の日本企業からの利子、配当収入などです。この伸び率が日本経済の本当の実力ということになるのでしょう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿