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消費者物価7か月連続マイナスの中身

2016年10月28日 11時17分08秒 | 経済
消費者物価7か月連続マイナスの中身
 今日(10月28日)、総務省は2016年9月度の消費者物価指数を発表、マスコミは「7か月連続マイナス」と報じています。
 見出し通りに受け取れば、今の日本はデフレ状態ともいえるような状況ですが、本当のところはどうでしょうか。少し中身を見てみたいと思います。

 マスコミが見出しで取り上げている「前年同月比0.5%のマイナス」は「コア指数」と呼ばれるものです。
 消費者物価指数の表示は3種類があります。
・「総合」:すべての消費者物価をカバーします
・「生鮮食品を除く総合」:天候などで変動の大きい生鮮食品を除いた指数(コア指数)
・「食糧(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」:輸入物価の影響を受けやすい部分を除いた指数(コアコア指数) 
 「持ち家の帰属家賃を除く」という分類もありますが、技術的なものなので、ここでは触れません。

 前年同月比の数字を見ますと「総合」マイナス0.5%、「生鮮食品を除く総合」(コア指数)マイナス0.5%、「食糧(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」(コアコア指数)0.0%(四捨五入でゼロになる程度のプラス)という事になっています。

 「生鮮食品を除く総合」(コア指数)も「総合」と同じマイナス0.5%という事は、天候不順で高騰した生鮮食品の影響は9月にはまだ大きくないという事でしょう。(ひと月先行する東京都区部の10月では11.4%の上昇です)

 「食糧(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」(コアコア指数)が0.0%という事は、物価が下がっている大きな要因は国内にはなく、資源価格の下落や円高による輸入物価の下落の影響が大きいという事が分かります。 

 ご承知のように、原油をはじめ国際的な資源価格の低迷は、世界経済の不安材料になっていますし、円レートは昨年暮れの120円台から今年9月には100円ぎりぎりという円高傾向です。

 こうしてみると、日本の物価下落は、国内要因というよりは、国際的な要因によるものが主因という事になり、確かに消費は不振ですが、国内経済としての物価は底堅く推移しているのが現状と言えそうです。

 という事になりますと、今後はどうでしょうか。海外情勢の変化は予断を許しませんが、、原油価格の持ち直しに象徴されるように、今後資源価格は確りしたものになっていくのではないかという見通しも根強く、円レートもこのところ多少円安に振れる状況にあります。

 円レートについては、アメリカの利上げの動きに翻弄されるのでしょうが、いずれ利上げをしなければならないことは自明で(日本はどうするかですが)、国際的に資源価格が持ち直す(世界経済小康状態で)という事になりますと、今後日本の消費者物価もこれまでのマイナス傾向ではなく、プラス転換も予想されるところです。

 日銀がインフレ目標2%を取り下げたところで物価が上昇傾向に転じるという事になるかもしれないというのも皮肉な事です。現状でも、菓子類、衣料品、日用雑貨、保険医療が、教育サービス、教養娯楽など価格が上昇傾向のものもあります。
 今後の消費者物価の動向には十分留意が必要なようです。


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