日本経済の人件費支払能力(支払能力シリーズ2)
先月、9月の14日に、経営者団体や、経営者が良く使う割に、中身も定義もはっきりしない言葉として「支払能力」を上げて、折に触れて考えてみようと書きました。
10月の20日に、連合が、2017春闘に向けて2パーセントのベア」を基本方針とするという報道がありました。
ベースアップ2パーセントというのは、今の日本経済の状況の中で「支払い能力の範囲内」なのでしょうか。この場合、どのように考えるべきなのでしょうか。
勿論この問いはそう簡単なものではありません。しかしだから勝手に解釈せよというわけにもいきません。
という事で、思考の順序として、支払能力の判断の基準となるものを上げていき、それをいかに解釈することで、支払能力を考えるアプローチになるか、その辺りから入ってみましょう。
まず最も基本的な要素は「日本経済が成長したから、人件費も増やす能力があるはずだ」という基準でしょう。
矢張りこれは支払能力の最も重要な基準でしょう。日本経済が成長した、つまりGDPが増えたというのは、日本人が頑張って働いたからでしょう。ならば、当然、働いた人たちはその分報われるべきでしょう。
かつて、日経連(現経団連)が主張した「生産性基準原理」というのは、「就業者1人当たりのGDPの伸び率を基準に、1人当たり人件費の伸び率を決めよう」という考え方です。
GDPが5%成長して、就業人口(雇用者+自営業主)が1%増えたとすれば、1人当たりではGDPは4%増えた(生産性上昇4%)のですから、1人当たり人件費は4パーセント増やせば「支払能力」ピッタリという事になります。
しかしこの原理は、「失われた20年」になって、経済成長がマイナスになってしまってから、言われなくなりました。理由は、GDPが減れば人件費も減らすことになるからです。
組合は「定昇程度」は要求しますし、経営側も正面切って、「賃下げをします」とは言いにくかったからでしょう。
経営側は、正規労働者を減らし、賃金が低い非正規労働者を増やして平均賃金を下げて、辻褄を合わせようとしましたが、結局、売上も減っているので、利益も大きく減って、長期不況になりました。
経済成長が復活すれば、「生産性基準原理」に沿って人件費を引き上げるという考え方は、当然復活するでしょう。
連合がベースアップ2%要求と言っているのも、その程度の就業者1人当たりのGDP成長はあるだろう、あるいはあって然るべきだという考え方によるものでしょう。
という訳で、人件費の支払能力については、まず経済成長率(GDPの伸び率)が、先ずは重要な基準という事になります。
通常、人件費に代えて「賃金」というのが一般的で、賃金は1人当たりですから、GDPの方も就業者1人当たりのGDP伸び率(国民経済生産性)に直して、1人当たりをベースにして議論するのが普通です。
先月、9月の14日に、経営者団体や、経営者が良く使う割に、中身も定義もはっきりしない言葉として「支払能力」を上げて、折に触れて考えてみようと書きました。
10月の20日に、連合が、2017春闘に向けて2パーセントのベア」を基本方針とするという報道がありました。
ベースアップ2パーセントというのは、今の日本経済の状況の中で「支払い能力の範囲内」なのでしょうか。この場合、どのように考えるべきなのでしょうか。
勿論この問いはそう簡単なものではありません。しかしだから勝手に解釈せよというわけにもいきません。
という事で、思考の順序として、支払能力の判断の基準となるものを上げていき、それをいかに解釈することで、支払能力を考えるアプローチになるか、その辺りから入ってみましょう。
まず最も基本的な要素は「日本経済が成長したから、人件費も増やす能力があるはずだ」という基準でしょう。
矢張りこれは支払能力の最も重要な基準でしょう。日本経済が成長した、つまりGDPが増えたというのは、日本人が頑張って働いたからでしょう。ならば、当然、働いた人たちはその分報われるべきでしょう。
かつて、日経連(現経団連)が主張した「生産性基準原理」というのは、「就業者1人当たりのGDPの伸び率を基準に、1人当たり人件費の伸び率を決めよう」という考え方です。
GDPが5%成長して、就業人口(雇用者+自営業主)が1%増えたとすれば、1人当たりではGDPは4%増えた(生産性上昇4%)のですから、1人当たり人件費は4パーセント増やせば「支払能力」ピッタリという事になります。
しかしこの原理は、「失われた20年」になって、経済成長がマイナスになってしまってから、言われなくなりました。理由は、GDPが減れば人件費も減らすことになるからです。
組合は「定昇程度」は要求しますし、経営側も正面切って、「賃下げをします」とは言いにくかったからでしょう。
経営側は、正規労働者を減らし、賃金が低い非正規労働者を増やして平均賃金を下げて、辻褄を合わせようとしましたが、結局、売上も減っているので、利益も大きく減って、長期不況になりました。
経済成長が復活すれば、「生産性基準原理」に沿って人件費を引き上げるという考え方は、当然復活するでしょう。
連合がベースアップ2%要求と言っているのも、その程度の就業者1人当たりのGDP成長はあるだろう、あるいはあって然るべきだという考え方によるものでしょう。
という訳で、人件費の支払能力については、まず経済成長率(GDPの伸び率)が、先ずは重要な基準という事になります。
通常、人件費に代えて「賃金」というのが一般的で、賃金は1人当たりですから、GDPの方も就業者1人当たりのGDP伸び率(国民経済生産性)に直して、1人当たりをベースにして議論するのが普通です。