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来春闘、連合「5%以上」を要求の方針!?

2023年10月18日 12時35分17秒 | 労働問題
来春闘、連合「5%以上」を要求の方針!?
最初に指摘しておきたい事:「連合が要求しなければ日本の賃金は上がりません。」

まだ組織決定ではないようですが、即座に感じたのは、これでは今迄の繰り返しになってしまうという危機感です。

解説には、昨年は「5%程度」でしたが、連合は「表現を強めた」と書いてありました。
連合は誰かに遠慮しているのでしょうか。マスコミでは17カ月連続で実質賃金低下と書かれています。国際的な日本の賃金は大幅に低下しています。

連合は労働者を代表する組織のはずです。殆どの日本の家計は労働者の賃金によって支えられているのです。当然賃上げは最大の関心事です。

政府は賃上げ奨励、昨年は経団連も賃上げ容認と言って、連合は3.8%の賃上げ獲得と自讃しましたが、その結果は17か月実質賃金マイナスの連続です。何かが間違っているのです。

今年は、加えて大幅円安の最中です、円レート149円は2年前に比べれば35%の円安で、ドル建てで見れば、日本の賃金水準は2年前に比べれば26%下がっているという事です。

連合の賃上げ要求は「定昇2%+ベア3%以上」という事ですが、円建ての賃金低下に較べればほんの僅かです。国際的に見て日本の賃金水準は下がる一方です。

日本は元々国際競争力で生きている国ですから、円安で強くなった国際競争力はどうなっているのかと言いますと、それは輸出関連部門の円高差益になって、増益の結果法人税収入は増え、企業と政府が潤っているのでしょう。

政府はそれと国債発行の収入で、輸入部門への補助金や、各種のバラマキです。
働く人々への分配は、連合の獲得力では、結果は17カ月連続の実質賃金マイナスという事に連合は気付いているのでしょうか。連合は勤労者家計を支えているのでしょうか

連合の誤解は、インフレを気にし過ぎている事でしょう。50年前、石油危機の時、当時の日経連が賃上げを抑えて、インフレを止めるべきだと主張したのは、インフレは日本の生命線である国際競争力の喪失に直結するという危機感からでしょう。

今は、国際化がさらに進み、インバウンドも含めて日本の競争力は目に見える形で実感出来ます。日本は為替レート110円でも国際競争力のあることはすでに実証されています。

いまの円レート149円が早晩110円に戻るというのなら為替レートの変動は一時的と片づけられるかもしれません。
しかし日銀短観にも見るように、企業は当面130円を想定していますし、アメリカ経済を見ても、円安は簡単には収まらないようです。

主要国がインフレを経験するたびに、日本の国際競争力は強くなります。
アベノミクスの時は、80円から120円への円レートの変化のかなりの部分を非正規労働の正規化や全体的な賃上げに使い、国際競争力の向上を労働分配にも使うという発想がなかったゆえに、10年近い消費低迷、ゼロ成長状態を招く結果になりました。

これからは世界の物価が上がれば日本の物価も上がります。国際経済の浸透はますます激しくなるでしょう。

連合は、賃金問題を、円建てのインフレ問題で考えるのではなく、日本の国際競争力とのバランスで考えるような感覚を持たなければ、日本の勤労者の家計の改善は進まず、日本の賃金水準の国際ランキングの上昇は望めないのではないでしょうか。

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