tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金融危機とPPP(汚染者負担原則)

2011年10月19日 16時51分42秒 | 経済
 ユーロが安定するかどうかは、まだ先が見えないようです。楽観論、悲観論が入り乱れて、当面するギリシャ問題だけでも、EU諸国はもちろん、世界各国の不安は治まらず、実体経済への影響も懸念されています。

 実体経済の効率的な活動を支援するための金融が、実体経済の不安や混乱を助長するというのは、本当に困った問題ですが、IMFや世銀、その運営に大きな力を持つアメリカなど主要国は、片方で今のマネー資本主義を進めながら、その引き起こす問題の解決ルールについてはきちんと考えてこなかったようです。

 ギリシャの国債の発行額は、ギリシャのGDP の100パーセント強で、日本円にすると30兆円弱ぐらいです。BIS(国際決済銀行)は、主要なギリシャ国際の国別の金融機関による保有額を発表しました。総額1500億ドル(12兆円弱)で、フランス、ドイツ、イギリス、ポルトガルがトップ4で、約8割を持っています。

 ところで、総発行額の2割とか5割を、いわゆるヘアカット(支払いカット)しようという話などが聞かれますが、発行額は確定していても、CDFなどをふくめて、ギリシャ国債を利用したデリバティブや、それがどれだけのレバレッジを掛けているかは、ほとんど解らないというのが実態のようです。
 
 これは、かつての公害問題に似ています。撒き散らされた公害物質の総量は把握されても、それが一旦拡散されてしまったとき、その対策のコストが何処まで広がるかわからない(巨大になる)という経験です。(今回の放射能汚染も似ています)

 公害の場合は、OECDなどで論議の結果PPP(polluter pays principle=汚染者負担原則)が言われ、基本的に、汚染者が負担することになりました。これは、汚染はその源で防止するのが最もコストが安いことが明らかだからでしょう。

 こうした経験は、金融危機においても共通です。デフォルトになってしまった場合は、それが何処まで波及するのか、結果的に何倍に膨れ上がるのか誰にも良く解らないのです。そんな金融市場、金融商品、そしてその管理体制のもとでは、世界金融市場汚染にも、PPP:汚染者負担原則を適用するのがもっとも賢明なのではないでしょうか。

 意見はいろいろあるでしょう。しかし、こういう世界金融市場を作って来たのですから、問題の起きた場合の対応の原則もきちんとしておかないと、そのつど混乱するばかりでしょうし、今までの経験で見ると、かなりの不公平がまかり通ってしまったように思えます。


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