tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2種類の「金融」の峻別を 1

2011年10月26日 13時51分02秒 | 経済
2種類の「金融」の峻別を 1
 このブログでは何回も触れてきた問題ですが、同じ「金融」という言葉でいわれてしまっている全く違った2つの活動について一度整理しておきたいと思います。

 われわれが伝統的に「金融」という言葉で考えるのは、人間が経済活動(生産活動)をする中で、あるところではお金があまり、あるところでは足りなくなるので、その余ったおカネを集めてプールし、お金の足りないところに貸す、という仕事でしょう。

 金融の発達は、金利という制度が一般化することによって、大いに発展しました。「ベニスの商人」のような金利は違法だから代わりに胸の肉1ポンド(肉はいいが血はダメ)などといっていたのでは金融は発達しません。

 預金にも金利がついて、長期なら金利は高く、借入金には預金より高い利息がついて、金融機関はその利鞘で成立するというのが、常識的な金融の世界です。

 この伝統的な金融の意義は何でしょうか。それはお金(資本)という生産要素を「より効率的に活用」して生産を増やし(GDPを増やし)経済の発展に貢献する(社会の豊かさの向上に貢献する)という事です。

 人間〈労働〉という生産要素で言えば、仕事をしたい人と、働き手が欲しい企業の仲介をする職業紹介と同じような機能です。この場合も、失業者を減らして、雇用と賃金所得を増やし、経済の発展に貢献します。

 経済は、人間とお金(労働と資本)で成り立っていますから、社会における豊かさを増やすためには、両方とも大変大事です。

 こうした場合、金利と賃金所得は、何処から来るのかというと、人間やお金を効率的に活用した結果生まれた「付加価値」(GDP)の配分として支払われます。ですから、預金をして利息を貰うのも、カネを貸して利息を貰うのも、働いて賃金を貰うのも、人間やおカネがGDPの増加(経済成長〉に貢献し、その分け前に与るのですから「正当な報酬」ということになります。

 こうした本来の金融は、おカネを貸すのにも、将来の産業・企業の発展性を見極め、産業・企業の発展と同じ長期的視点で融資をして、その産業・企業の発展と共に発展していくことを考えていたので、当然長期的視点で金融という仕事を考えていました。
 これが金融というものが健全だった時代のお話です。


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