tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

今日、太平洋戦争開戦の日です

2021年12月08日 16時11分45秒 | 国際政治
太平洋戦争開戦、もう80年も前の話です。
しかし、日本人である限り、その日の記憶を持っている人も、その後の戦争の最中から記憶が 始まる人も、戦後の混乱が記憶の原点という人も、さらには、戦争については記録によってしか知らない今の日本人の大多数の人たちも、12月8日という日は記憶に残し、今後の日本が、また改めて戦争という過ちを犯すことの無いようにする、いわば戒めの日と考えるべきではないでしょうか。

私自身、当時の事を振り返れば、まさに人類としての危険分子だったという記憶があります。
小学校2年生でしたが、昼食のために家に帰る途中で、上級生から、「日本はアメリカ・イギリスと戦争を始めた。知ってるか。」と言われました。

上級生は、「日本とアメリカの間には海がある。海で戦争をすることになれば日本の海軍は強い」自信たっぷりに教えてくれました。
勿論誰かに聞いたのでしょうが、子供というものは、ある意味では怖ろしいものです。
先生や大人の言う事は正しいと思うのです。

その後、先生の言う事も、マスコミが書くことも、緒戦の勝利の宣伝ばかりでした。
新聞に書いてあった戦果を、作文に書くと、「戦艦何隻撃沈、巡洋艦何隻撃沈、駆逐艦何隻撃破、敵機何機撃墜、・・・」などと1行全部漢字で書いて先生の褒められた、などといいあっていました。

ある日、夕食の時、父親に「戦争があると戦果がいっぱいあっていいね」といいました。
その時の父親の反応は、子供には予想外のものでした。
私は、父親にひどく怒られたのです。「戦争なんて無い方が良いんだ、そんな事は絶対いうな」でした。

父親は、それ以上何も言いませんでしたが、その後、身をもって体験したことから、何故あんなに怒られたかを理解することになりました。
それは、戦争に負けたからではありません。たとえ勝っても、破壊と犠牲は巨大ですし、必ずどちらかが負けるのだという事にも考えが及ぶようになりました。

田中角栄が「戦争を知らない世代が国のリーダーになった時は危うい」と言っていることはこのブログでも何回か触れましたが、経験と知識が多くなるにつれ、人間は少しずつ「より良い」判断が出来るようになるのではないでしょうか。 

英国の宰相だったアトリー氏は「戦争は人の心の中で始まるものだから、平和の砦は人の心の中に築かなければならない」と述べ、それはユネスコ憲章の前文に掲げられています。

日本が太平洋戦争に踏み込んだ時、主戦派の陸軍に対し,海軍は慎重派だったことが最近注目されています。太平洋戦争は当時の陸軍のトップの心の中で始まったのかもしれません。

戦争に突入するか避けるか、勝つにしても負けるにしても「戦争をしないことの方がベター」というのは解っていることですが、人の心は時に恐ろしいものです。

このブログではかつて「戦争か外交交渉かの間の選択肢の一覧表」というのを出しました。
現実を徹底して簡素化し、出来るだけ客観的にしたものですが、多分、戦争を始めるときは、人間は感情に駆られて「イチかバチか」の選択をして仕舞うのでしょう。
そしてリーダーは「これがわが国民の為なのだ」という言い訳に縋るのでしょう。

太平洋戦争開戦の日の丁度80年後です、その悲惨な記憶(記録)を風化させない様にとの動きも活発な中で、私なりに振り返ってみた感慨です。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
行雲流水様 (tnlabo)
2021-12-08 22:30:06
コメント有難うございます。
何時も力のある論説拝読しています。
これからの国会が、少しまともになって呉れるといいですね。
返信する
Unknown (行雲流水の如くに)
2021-12-08 19:42:02
こんばんは。
ご意見にまったく同意いたします。
私は昭和18年生まれですので、かろうじて戦争を知っている世代に入るのでしょう。

今の時代のリーダーは殆ど戦争の実体験がありません。
若い人たちの中には「太平洋戦争」があったことも知らないとか。

だから危険な匂いを察知したら早めに我々の年代が警告を発すべきなのでしょう。
返信する

コメントを投稿