tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2022年4-6月GDPコロナ前に追いつく?

2022年08月16日 14時48分44秒 | 経済
昨日、内閣府から標記四半期のGDPが発表になりました。

報道されている所では1-3月期に比べて実質0.5%の上昇で、年率に換算すれば4乗して2.2%の上昇で、コロナに関しての行動制限を外してきている事の効果が表れて、順調に上昇傾向を示したとのことです。

マスコミへの説明では、これで、実質GDPの水準が、やっとコロナ前の水準を回復したといった説明があったようですが、それには、前期の1-3月期のGDPが、速報のマイナし0.5%からプラス0.1%に改定されたことが効いているという説明のようです。

成長率0.1%に一喜一憂するような低成長の時代に、速報と確報の訂正の幅が0.6%にもなるというのも困ったもので、建設統計の不正で成長率の修正が0.1%でしたから大したことは無いといった説明のバックアップに役立つ数字なのかな?などと変な感じもします。

度重なる統計不祥事で、疑い始めるときりがなくなるので「統計は正しいのだ」と自分に言い聞かせながらものを考えるというのも困ったものです。

という事で、先ずは原数字に当たってみようと考え、四半期別GDP統計の伸び率ではなく、四半期ごとの実質GDPの数字をグラフにしました。
数字も入れておきましたが10億円表示ですから、最初の3ケタで兆円です。四半期ですからGDPも年数次540兆円ほどの4分の1程度の数字になります。

      四半期別実質GDPの推移 (単位:10億円)

                          資料:内閣府「GDP統計」

これで見ますと2022年4-6月は、コロナ前の2019年の10-12月に追い付いていません。マスコミの数字は4倍して1年分にしているので、ついでに季節調整して、それなら追いついているという説明だったのかもしれません。

殆どのマスコミは、そう言っても、この先コロナ次第でどうなるか解りませんよといったコメントを付けているようですが、その通りでしょう。

こんな時期に、数字を工夫して追いついたなどと言ってみてもあまり意味がないでしょう。コロナになってからは、季節調整よりもコロナ調整の方がずっと大事で、感染者数の動きや緊急事態宣言やマンボウ(蔓延防止)があったかないかでGDPは大きく動きます。

本当の相手はコロナでGDPはその結果ですから、結果の計算の仕方を工夫して「よかった、よかった」と言っても意味はないのでしょう。

内閣府のお仕事ですから、総理や官房長官が、数字が高くなった方がいい発言したのか、事務局が「忖度」してそんな説明数字を考えたのか知る由もありませんが、「統計」というのは、まさに「統計をして語らしめよ」が本来の役割であることを、統計に関わる人たちは、心して十分に尊重すべきではないかといった感じがします。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿