tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

格差問題は社会不安定の元凶らしい

2017年06月25日 11時36分34秒 | 社会
格差問題は社会不安定の元凶らしい
 前回の最後に書きましたように、トマ・ピケティは「21世紀の資本」―現代の資本論などといわれる―の中で、「放っておけば格差は拡大するもの」との考えを示していますが、戦後の世界経済の勃興期(1960年代中心)はその例外と述べています。

 この「例外」の分析は極めて重要と私は感じますが、それについてはまた、おいおい述べるとして、本題の、人類社会の経験として、格差が拡大すると社会が不安定になるという関係については、納得される方が多いと思います。

 戦争や革命の原因は、多くの場合国家間あるいは地域間の格差の拡大や国内の格差の拡大にあるようです。

 格差には色々ありますが、ここで問題にするのは基本的に経済的な格差という事になります。
 経済的な格差でも、大は国家間(以前は宗主国と植民地などもありました)の格差、国内の貧富の格差、それも、所得の格差、資産の格差、場合によっては身分の格差(正規社員、に正規社員などの格差はこれでしょうか)、従業員間の賃金の格差(年功賃金による格差、職務間の賃金格差、能力主義や成果主義による格差、経営トップと一般社員の給与の格差などなど・・・、といった個人レベルのものまで多種多様です。

 前回、自由と平等は対立概念と書きましたが、自由を徹底すれば格差は拡大するでしょう。ではと言って平等を徹底したら、何も面白くないでしょう。「真理は中間にある」ので、さてどの辺りが「認められる格差・納得できる格差か」を探すことになるのでしょう。

 アメリカのトップと平社員の給与格差は、日本のそれに比べてずっと大きいのは多くの方はご存知ですが、いま日本では、アメリカの方向に引っ張られているのでしょうか。年間報酬1億円以上のトップ層が傾向的に増えているようです。

 この問題はマスコミが「何百人を超えた」などと良く取り上げますが、やはり格差拡大には人の目が集まりやすいからでしょう。
 アメリカのような格差社会は日本には似合わないと考えている人は多いと思いますが、許容される「程度」は、社会の文化的背景によって違うようです。

 そして、その限度を超えて格差が拡大すると、社会が不安定になるようです。意識としての不安定だけでなく、それは、経済的な現実の格差、生活の格差を反映して、社会の融和や結束を蝕み、さらに進めば、反社会的な行為、犯罪の増加、総じて社会の劣化を引き起こすようです。

 今、世界で起きている多くの問題の、1つの大きな原因に「格差の拡大」という切り口があるとすれば、格差問題を、もう少し掘り下げてみる必要があるようです。

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