tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ジャパンシンドロームは消えたか?

2017年01月14日 12時34分48秒 | 社会
ジャパンシンドロームは消えたか?
 2011年ごろでしたか「ジャパン・シンドローム」という言葉が流行りました。合計特殊出生率が1.26人まで下がり、将来日本の人口は半分以下になり、そこからさまざまな対応困難な問題が発生する、日本の将来は心配だといった内容でした。

 その後、合計特殊出生率の徐々に改善し2015年には1.46人に上昇、その後も強含みのようです。
 同時に、円レートの正常化で日本経済が元気を取り戻したことの効果の方が大きかったのでしょうか、一時の流行後も死語になりつつあります。

 しかし未だこの亡霊が残っている面があるようなのが、公的年金を中心にした漠然とした老後不安の問題です。
 先日触れました公的年金のマクロスライド問題などに代表されるのかもしれません。

 確かに年金問題は、支える人と支えられる人の比率が決定的に影響しますから過去の出生率低下の影響は避けられません。だからと言って、深刻度を増す老後不安で、景気が回復しても、貯蓄ばかり増えて、消費が増えず、経済成長の深刻なブレーキになるほどの事でしょうか。

 人口減少はそんなに大きな問題でしょうか。人口が増え続けなければ、経済成長は出来ないのでしょうか。
 そんなことはありません。人口減少率より経済成長率を高めれば、1人当たりの豊かさは増すのです。

 数字で言えば、人口減少はせいぜい年1パーセント以下です。それ以上の経済成長をすれば、国民一人一人の豊かさは増します。
 もっと身近の表現で言えば、働く人が工夫して生産性を2%上げれば、1%の人口減を支えてなお1%の豊かさの増加が手に出来ます。
 あとは、国民1人当たり増えた1%の豊かさの配分をどうするかです。

 人口減少は悪い面だけではありません。例えば、高度成長期のサラリーマンは住宅の確保に膨大な負担をしなければなりませんでした、次の世代は、その住宅の良さを引き継ぐことが出来、この点では1代前よりずっと楽に住宅確保が可能です。
 超満員だった通勤地獄や、道路事情も、1代、2代前よりずっと良くなります。

 便利なところは大いに活用し、足りない所はすこし頑張れば「平均的には」ジャパン・シンドロームは消えるはずです。

 これからの最も重要な問題は、国民1人当たり増えた豊かさを、如何に適切に配分するか(実はいつの世でも変わらない問題ですが)でしょう。
 これから起きてくる先行き不安、特に老後不安の問題は、決して豊かさの総体の大きさの不足ではなく、その配分の失敗、広く言えば格差社会化によるという事になるのでしょう。

 日本経済が曲がりなりにも成長経済を取り戻す中で、老後不安が深刻化する、あるいは子育て不安、教育負担が社会を不安にするような状態は、GDP,国民所得の配分を、社会保障、次世代の育成に、如何に配分すべきかについて、政府の考えと国民の考えがずれているところから発生するのではないでしょうか。

 「 コンセンサス社会の作法」でも書きましたが、日本人は、最も合理的な意見を理解し、コンセンサスができれば、協力して推進できる真面目さと能力を持っていると思っています。
 数の論理、強行採決頼みではなくそのための制度を、どう構築できるかでしょう。

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