tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

正常な日本経済の形: GDPを使い切れば

2010年03月05日 09時50分10秒 | 経済
正常な日本経済の形: GDPを使い切れば
 日本国民は、自分たちで生産したGDPを使い切っていないので、その額が貯蓄超過になり、国際収支の経常黒字になっていると説明 してきましたが、具体的な金額を見てみましょう。

 直近の数字は2008年度で、12.3兆円、GDPの2.5パーセントです。前年度の2007年度は24.5兆円でGDPの4.8パーセント、過去10年ぐらいを見ると、ほとんどの年度で20兆円近く使い残しています。
 この分は、GDPを使い残しているわけですから、残さないで全部国内の消費と投資で使えば、国内の消費活動、投資活動は20兆円分だけ活発になります。経済成長で言えば、ほぼ4パーセント分です。

 国内経済活動が活発になった分だけ雇用にも良い影響があり、賃金上昇の可能性も出てきます。経済が縮小しないとなれば、企業は縮小均衡脱出を目指し、生産を増やし、雇用も雇用者の収入も増え、それによって消費も増え、経済は、消費が投資を呼び、投資が企業活動を活発にし、雇用・賃金を増やして経済が成長するという正常な循環に戻るでしょう。

 このとき、日本製の物価やサービス料金が国際比較で高ければ、日本企業は競争に負け、売り上げを伸ばせないかもしれません。しかし、すでに経常収支の黒字は消えているわけですから、円高圧力も円高によるデフレ圧力も多分なくなります。これが大変重要です。

 これまでのように円高が進むたびにコストや価格を引き下げる必要はなくなり、生産性向上の成果は外国に移転することなく、国内の企業と従業員が享受できる事になるわけです。
 円高・デフレのスパイラルはなくなります。

 何だ、そんな簡単なことなら今すぐやればいいじゃないか、という声が聞こえてきそうですが、それが出来ないからこそ日本経済は困っているわけです。

 出来てしまえば、簡単で、実はこちらの方が正常な経済状態で、今までのように、いつも円高に追いかけられてコスト削減ばかりしなければならないとい状態こそが異常な経済状態だったという事なのでしょうが、どうやってそこに行き着くかが問題です。

 問題は、先ず第一に、日本の消費者と企業が、年々自分たちの生産したGDPを全部使うことが出来るかどうかということでしょう。 実は企業は、基本的には余り無駄な溜め込みはしないシステムですが、問題は消費者(家計)です。


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2 コメント

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コメント有難う御座います。 (tnlabo)
2010-03-08 13:44:22
仰言るとおりですね。老後の生活に3000万円必要などとマスコミが書き、そのための貯蓄がリーマンショックなどで目減りすると、また一生懸命貯蓄する(この2~3年私的な保険年金原資の目減りの一方で預貯金が増えています:日銀「資金循環表」)といった悪循環です。お金も水も流れればみんなの役に立つのですが。

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結局、国内の富が偏在しているからおかしくなるんでしょう。贅沢な生活をしている連中も居れば、清貧な生活を送っている人達も居る。 (ponpon)
2010-03-05 16:50:43
・お金を持っている人
欲しいものを既に手に入れているのでお金を使わない。

・お金を持っていない人
欲しいものがあってもお金が無いので買わずに我慢する。

これまで公共事業などのバラマキが散々行われて来ましたが、既得権益者や金持ちにカネが流れるだけで、他の所(特に若者)にはほとんどカネが流れませんでした。少子化も若者(バブル崩壊後に社会に出た世代)の低所得化が原因ですしね。
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