2021年1-3月期GDP第2次速報
昨日、内閣府から、標記の第2次速報が発表になりました。マスコミの見出しは、第1次速報ほど落ち込みはひどくなかったということで、政府も張りきって発表し、マイナスはマイナスでも、年率換算5.1%のマイナスから3.9%のマイナスに修正されたのですから、良かったということでしょう。
ところで今の景気の落ち込みは、緊急事態宣言などで、家計の消費支出が落ち込んでいるのが主因で、1-3月も1月からの緊急事態宣言の影響を大きく受けているという所でしょう。
ただ、このブログでも、5月11日に取り上げましたように、この3月には、消費支出にやや動きがあったので、その辺りの影響が出たのかなと思いましたがが、今回のGDP2次速報では、消費の落ち込みは相変らず深刻となっています(後述)。
では何によって2次速報のGDPの数字が変わったのでしょうか。という事で、中身をみてみました。
GDPの構成要素は、大きく「内需」と「外需(純輸出)」に分かれ、内需は「民間需要」と「公的需要」に分かれます。
第1次速報と、第2次速報(実質値)の対前期比の伸び率(マイナス印は落ち込み率)を比べてみますと、
第一次速報 -1.3% 第2次速報 -1.0%
ということで0.3ポイント落ち込み幅が縮小したわけです。(この数字が4期続くと仮定したのが「年率換算」)
内需と外需に分けますと外需は-0.2%で変わっていません。
内需が-1.1%から、-0.8%と、0.3ポイント落ち込みが縮小しています。
そこで、この0.3ポイントの違いが民間需要と公的需要のどちらから来たのかを見ますと
民間需要は、-0.9%だったものが-0.7%に改善
公的需要は、-1.6%だったものが-1.0%に改善
という事で公的需要の数字が大きく改善修正されています。
もちろん需要総額としては民間の部分が圧倒的の大きい(2.6倍程度)ので、民間の改善がば0.2ポイントは2.6倍しますと5.2ポイントで、政府の0.6ポイントに匹敵します。
速報の1次と2次の違いは、統計調査のプロセスで、新しいデータなどが発表になったりして、より正確になっていくというものですから、新しいものが実態により近いという事でしょう。
か。
そういった眼で見ますと、公的需要の数字の大幅修正は、政府自体の数字のまとめ方の遅さを示しているのかもしれません。
ところで、民間需要の内訳である「消費」と「投資」について見ますと、個人消費は、家計調査の3月では好調でしたが、-1.4%から-1.5%に低下、一方企業設備投資は、-1.4%から-1.2%に改善修正されています。
企業が設備投資で頑張ってくれたという事でしょうか。多少改善しても、消費不振で、企業の設備投資頼みの片肺飛行です。
ワクチン接種が進んで、個人消費が本格的にならないと、景気回復は来ないようですね。