tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

官民分配率の適正化と消費税増税

2014年09月30日 10時22分28秒 | 経済
官民分配率の適正化と消費税増税
 1990年代以降、真面目に頑張りながら、世界で唯一デフレに苦しむという辛酸をなめた日本経済ですが、その最大の原因は、アメリカ主導のマネー資本主義への対応を誤ったことだったように思います。

 マネー資本主義は、為替レートの変動によって、一国経済の動向をいかようにも動かすことが出来るという特徴を持っています。そしてその中の「マネーゲーム」という舞台で為替レートを操りながら、(黒子として)キャピタルゲインの極大化を狙っているのが国際投機資本です。

 日本政府や通貨当局は、それが理解できず、円の為替レートを「適切に管理する」ということに 全く無頓着で、円レートは与えられるものといった感覚を持っていたようです。
 黒田日銀になって、日本は 初めて円レートを政策的に管理することを始めました。

 為替レートがまともになれば、真面目に頑張る日本は、着実に経済成長を達成していくでしょう。今までのように、財政支出で経済を支える必要は小さくなるでしょう。
 しかし問題は、これまで、国民は貯蓄、政府は(国民から金を貸して)財政支出という形で回ってきた日本経済ですから、例えば今年でも一般会計の歳入総額の43パーセントが公債金収入(民間からの借金)という後遺症が残っていることです。

 対GDP比の政府の債務残高も232.パーセントで世界でもダントツで、国際機関からも要注意と見られています。
 日本にしてみれば、この借金は、貯蓄心旺盛な国民からで、外国からは少し(5%程度)しか借りていませんから「ご心配なく」ということかもしれませんが、国民にしてみれば、「ちゃんと返してくれるのかな」と不安にもなります。

 今は金利が安いですが、経済が正常化し、金利も正常化したら、政府は利払いのために又借金するといった、まさに「サラ金財政」になりかねません。

 ということで、第1に「政府は財政の無駄をなくすべきだ」という問題、第2に「その程度では焼け石に水、矢張り民間と政府の配分比率を適正化すべきだ」ということになります。政府は、 国民の理解を得つつGDPの中から政府への配分を増やす必要があるようです。

 この第2の問題への取り組み、政府の収入の割合を増税で増やそう(民から官への分配の増加)というのが「消費税増税」です。
 そして消費税は、所得税や法人税などの直接税に比べて、政府にとっては安定収入(租税弾性値が安定)でしかも国民にとっても「解り易い」ものです。

 折しも、円安政策や内外の諸事情(前回詳述)で日本の経常収支は大幅黒字が消えてトントンに近くなり、下手をすると、アメリカのように、財政収支・経常収支の「双子の赤字」になりかねないなどと言われるようになり、円高の心配は小さくなりました。
 
 官民の分配関係を変え、政府の赤字を減らし、財政の健全化、日本経済の健全化に踏み出すチャンスでしょう。
 超高齢化社会を支えるためにも、政府、国民共に、確り考えるべき時ではないでしょうか。
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 注:「官民分配率」はtnlaboの造語で、企業収益と人件費の関係を労働分配率というのになぞらえたもので、国民負担率と同様の概念です。


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