tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費増税と経常収支、財政収支

2014年09月28日 11時33分25秒 | 経済
消費増税と経常収支、財政収支
 前回指摘した、消費増税と経常収支の関係は、以下のようなものではないでしょうか。

 日本経済が万年黒字国といわれ、毎年大幅経常黒字を計上していたということは、家計で言えば、年間の収入を使い切らずに、大幅黒字を出し、その分が貯金になっているといった状態です。
 収入を全部使えば、もっといい生活が出来るのに(将来に備えて)貯金をしているのです。家計なら貯金も結構でしょうが、国の場合は、貯金(経常黒字)は外国に貯金することになります。例えばアメリカの国債や証券・債券ですが、これらは円高やリーマンショックで大損になっています。

 そのうえ、大幅黒字国ということで、国際投機資本は、常に「円は安全通貨」と考え、何かあると円買いで、そのたびに円高になり、これは日本経済のデフレを促進します。
 大幅黒字 → 貯金は、日本経済にとって、損したり、デフレを呼び込んだりで、いいことは殆どありませんでした。

 この貯蓄は国民が「貯蓄はいいことだ」と思ってするわけですが、その結果は、消費不振、内需不振ですから、政府はもっと景気を良くしようとして、国債を発行して国民から借金し、財政支出で景気を支えようとします。

 そしてその結果、日本の累積財政赤字は世界でダントツといったレッテルを張られることになりました。
 しかし日本の国債は国民が買い支えているのだから、政府は赤字でも国は大幅黒字、心配はないという状態です。

 しかし、ここに来てこの状態に変化が起きています。アベノミクスの第一の矢で円安が実現、原発の全面ストップで化石燃料輸入急増、さらに価格上昇が追い打ち、アジア諸国の競争力向上、日本は高齢化で、貯蓄率低下の心配、などなどで貿易収支は赤字転換、経常収支もトントンくらい。

 つまり、今の日本経済は、収入(GDP)をほとんど使いきって、もう貯金はしていない、という状態になりつつあるようです。
 これは日本経済が守りから攻めに転じ、正常な経済成長を目指して活動を始めたということの結果でもあります。企業収益、投資行動、求人倍率などがそれを示しています。

 こういう状態の中での「消費税増税」の影響は、デフレ下での消費税増税とは随分と違うはずです。私は、現状の計画程度の消費税増税ならば、経済成長エネルギーの中で吸収することは十分可能と思っています。

 もちろん消費増税の使途とその効果を国民に解り易く示すといった努力は政府に要請されるところですが、現状で、日本経済の中で歪みとして残っているのは、マクロ経済で言えば、官民バランスの悪さ、具体的には「財政の大幅赤字」です。
 ここに来て、逆に、消費税増税で財政赤字を減らすことは日本経済の至上命題になりつつあると考えています。この問題は次回、よく見てみましょう。


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