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円安と経済政策:忘れられた賃金 1、物価動向

2023年08月25日 13時57分35秒 | 経済
今日総務省から8月分の消費者物価・東京都区部の速報が発表になりました。
今、経済問題で、国民の最大関心事は消費者物価のようですから、このブログでも毎月その動向を追っています。

特にこの所は、生活必需品中心に10%前後の年率上昇をしているものが多く、春闘賃上げがあっても実質賃金はマイナスといった状況が続いています。

昨年の消費者物価上昇は、長らく輸入物価上昇でも、消費不振が深刻で価格転嫁が出来なかった反動の上昇という思いが強かったようですが、今年に入っての上昇率の加速は円安による輸入原材料価格上昇の国内価格への転嫁という理由が強くなっています。

典型的にはガソリン価格で、昨日近所のスタンドで給油しましたが、会員は2円引きで177円/Lでした。これでも安い方かもしれません。
政府は「元売りに補助金」をという話ばかりですがそれでいいのでしょうか。

一方、日銀はこの物価上昇は一時的なもので、年末までには下がると見ているようですが、10月から値上予定が食料、飲料など6305品目(NHK「サクサク経済」)などというニュースを見ますと、それでいいのでしょうか。

春闘での政労使の議論以来、輸入価格上昇分は国内価格に転嫁すべしという事にもなったようで、円安で輸入価格は上がっています。

昨日のアメリカのジャクソンホール会議ではFRBのパウエル議長がインフレ圧力を指摘、米金利引き上げ懸念から円安に振れる一方、今日の日経平均は600円を超える下落です。

パウエルさんのインフレ懸念のしつこさから金利引き上げ懸念で円安傾向は続き、日本のインフレは収まらないという事になっているようです。
上述の、8月の都区部の消費者物価の動きは下図です。

    東京都区部8月消費者物価速報(対前年同月比:%)

                 資料:総務省「消費者物価指数」

という事で、消費者物価の上昇をこのまま「注視する」というだけで、政府・日銀としては良いのでしょうか、見ているだけでは駄目、という事になりそうです。
図中の緑の線は、アメリカでパウエルさんが気にしている消費者物価のコアコア指数に対応するもので、日本でもこれだけは上昇傾向が続いています。

輸入物価上昇分は、出来るだけスムーズに国内価格に転嫁しなさいと言っていると、円安が続く限りインフレは収まりません。
結果的に実質賃金はこれからもマイナス続きといった事にもなりかねません。

問題は2つあるようです。
1つは、円安をどうすするかです。アメリカの金利政策次第でいいのでしょうか。
2つは、円安による輸入価格の国内価格への転嫁という問題をもっと確り考えて、的確な政策を打たないと、実質賃金マイナス続きで、消費不振の片肺経済という事になりそうです。この対応策は如何にという問題です。

次回この2つを考えてみましょう。

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