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2023年4~6月期GDP速報:年率換算6%成長というが

2023年08月16日 18時10分25秒 | 経済
昨8月15日、内閣府より今年4~6月のGDP第一次速報が発表になりました。

マスコミ報道では季節調整値の対前期比実質成長率が中心の解説が多く、実質GDP成長率1.5%、年率換算では6%成長と順調で、3四半期連続の実質プラス成長、実額GDPも史上最高といった記事が多いようです。

確かに昨年秋以来、世界的にコロナ終息の気配となり、日本経済も何となく元気を取り戻すような気配になり、春闘の結果も高めになっていました。

しかし、この4~6月の四半期GDP速報をつぶさに見れば、どうも手放しで喜べる状態ではない面もあります。

このブログでは、最近3か月という短期の動きではなく、この1年の各四半期の対前年同期の伸び率を見ることでもう少し趨勢的な動きを重視していますが、そのあたりの問題点も含めて見ていきたいと思います。

先ず、昨年4~6月期に対し今年4~6月期のGDPは実質2%の成長で前1~3月期と同じです。今年に入って実質2%ペースの実質経済成長を維持しているという事です(以下数字は全て実質ベースです)。

2%成長でも、これまでから見れば順調と言えるでしょう。
ではどの分野で成長しているかと言いますと2%の成長のうち、国内需要の分が0.8、海外需要(純輸出=輸出-輸入)で稼いだ分が1.1で計1.9です(四捨五入の関係で0.1%合わない)。

外需は輸出の増えた分が0.7、輸入が減った分が0.4で、計1.1です。円安もあり輸出は順調、輸入はかなり減ったという事です。

ぉう見てきますと、先ず、国内経済活動でより海外との経済活動でGDPを稼いでいることが解ります。

次に国内需要ですが、2%の経済成長への内需の貢献分(寄与度)は0.8です。そしてこれを民間需要と公的需要に分けますと、民需が0.6で公需が0.3で計0.9です(これも四捨五入のせい)。

民需の0.6の内、民間の消費支出は僅か0.1、住宅建設が0.1、企業の設備投資が0.5で、計0.7(これも四捨五入・・)です。

公需は、政府の消費支出が0.1、政府の設備投資が0.2で、計0.3という事になっています。

ここまで見てきますと、マスコミの解説にあります「消費は増加しているが、消費者物価の上昇で実質質成長率には貢献していない」という指摘は「その通り」でしょう。

しかし日本中の家計消費の、この1年間の実質GDP成長2.0%への寄与度が僅か0.1で、政府の消費支出の寄与度0.1と同じでしかないというのは一体何故?、と驚きです。

同様に、日本中の企業の積極的な設備投資の寄与度が、2%成長の中の0.5で、政府の設備投資の寄与度が0.2とその4割相当もあるというのも驚きです。

政府の設備投資( 正確には政府固定資本形成)がこのところ急激に増えているのも気になります、前年同期比実質(%)で2022年4-6月▲9.2、7-9月▲5.1、10-12月▲2.4、2023年1-3月+3.0、4-6月+4.7と毎期急伸です。(防衛装備品でしょうか?

政府の発表する統計に問題があるとは言いませんが、この様な民間停滞、官公需要と外需でもつ日本経済というのは、政府としても本気で「問題だ」考えるべき事ではないでしょうか。

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