tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

波乱含み、為替と物価の現状

2023年10月12日 16時16分39秒 | 経済
為替と物価についての動きが波乱含みの中で日銀は「注視」を続けていますが、その視線の先はFRBの動向でしょう。

インフレを退治し、更に再発の芽も摘もうというパウエル議長の意気込みが効果を持ったようで、FRBの中でもこれ以上の金利引き上げについては意見が分かれていようです。

今日はまた円レートは149円台ですが、149円10銭台で、150円に迫るといった状態ではないようです。

日本にとってはこの円安が輸入物価の上昇に繋がり、それが国内物価に転嫁されて物価上昇が収まらないというのが政府・日銀の最も苦慮するところでしょう。

そんな今日、日銀から輸入物価指数、企業物価指数などの主要物価統計が発表になりました

早速これまでのグラフを延長してみました。

     輸入物価、企業物価、消費者物価(東京都区部)3指数の推移

                    資料:日銀 総務省統計局

ご覧のように輸入物価は上昇に転じました。2021初頭からの動きを見て頂けばお解りの様に、輸入物価が上がり始めればそれは次第に企業物価に波及してきます。

しかし、今回の輸入物価上昇は、国際価格が上がったのではなく、円安で日本だけの値上がりです。契約通貨ベースでは上がっていません。
当然、アメリカの金利はどうなるという事になります。日本の円安→インフレはアメリカの金利次第です。

ですから日銀は、アメリカの金利動向を注視し、アメリカが金利を上げなくなり、円レートが130円、120円に戻れば日本の物価も収まると見て、それを待つわけです。日銀には主導権はありません。

日本も金利を上げれば円安は止まりますが、金利を上げれば、日本の景気がもっと悪くなると政府も日銀も考えていますからそれも出来ません。

ただ円安は日本の国際競争力を強めますから、輸出が増え、インバウンドも増えることでいい事もあると思っている面もあるのではないでしょうか。
先日も「しらたき」の輸出が何倍も増えてニコニコなどという話もありました。

外国から見て高い物価は下がりますが、安い物価が上がるのは、経済では当然のことですが、円安がいつまで続くかがアメリカ次第という所が一番困るところでしょう。

そんな中での物価の動きを1年前と比較してというのが下のグラフですが、最近の動きはまちまちで、未だ傾向的な判断は出来ないようです。ただ企業物価が消費者物価より低くなったというのは、国際価格の上昇による輸入物価の上昇が終わった事の結果でしょう。(図では消えていて済みません、右端の消えた企業物価の対前縁上昇率はは2.0です。数字2..8は消費者物価、)

輸入物価、企業物価、消費者物価(東京都区部)指数の対前年上昇率(%)

               資料:上に同じ

今現在の問題である「円安」といったマネーの世界の現象は短期と思ったものが長期になったり基軸通貨国の金融政策の影響で、政策担当者の意識次第という面もあり、迷惑しても当面静観という事になるのでしょうか。

出来れば日本は日本自体の自立した経済運営を企図し、今の日本に必要な政策を取ることで、独自の経済展開を進めるという方法もあると思いますが、それを実行する日本の各経済主体、政策当局の構想力と事効力が問われているという事なのかも知れません