tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2023年9月度「日銀短観」上昇から安定へ

2023年10月03日 13時25分16秒 | 経営
2023年9月度「日銀短観」上昇から安定へ
昨日、日本銀行から9月度の「全国企業短期経済観測調査」、通称「短観」(年4回、3月、6月、9月、12月調査)が発表になりました。

すでにマスコミも報じていて、日本経済の状況を示す代表的な「製造業大企業」が前回に続き今回の調査でも好調を維持しているという点が強調されています。

このブログでは前回の調査で、一足先に回復した非製造業をに続いて、製造業も業況回復で、製造業、非製造業の揃い踏みになって来た事を報告いましたが、今回もそのペースは変わらずです。

これは日経平均が高値を維持している事からも感じられるところですが、今回の調査では、大企業の業況回復に続いて、中堅企業、中小企業にも次第に均霑して来たようです。

DI(良い企業の%から悪い企業の%を引いた数字)の数値を見ますと、前6月、今9月、来12月の3期のDIは大企業が5-9-10と改善、中堅企業が0-0-2と水面浮上、中小企業が▲5-▲5-▲2と水面浮上直前という所です。

円安で、原材料価格が上がっているのを自社製品に価格転嫁することは従来大変難しかったようですが、政府の政策、それに世論の後押しもあり製品価格に多少は上乗せしやすくなったこともあるのでしょうか。

国際商品の値上がり、円安による日本だけの輸入価格値上がりで、いわゆる中小下請けのコスト上昇は大変でしょうが、これは皆で分担負担するしかないのでしょう。

短観の回答企業が前提にしている円レートは130円台ですが、今は150円近いといった問題も、政府・日銀は放置ですが、その分は円高になった時、取り返せるのでしょうか。

余計なことを書きましたが、短観では「売上高経常利益率(%)」も調査していて、調査は、上期、下期の「計画値」ですが、今年度の上期、下期の製造業企業の数字は次のようです。
大企業 上期11.22%、下期8.46%
中堅企業 上期5.23%、下期5.26%
中小企業 上期3.88%、下期4.20%
大企業は、上昇期から安定期に、中堅企業は、もう少し改善期待、中小企業は、もうひと頑張りといった感じでしょうか。

設備投資につて、特にソフトウェア投資について見ますと、これは2022年度と2023年度の実績・計画値の対前年度比ですが、次のようです。
製造業大企業 16.8%、18.5%
   中堅企業19.8%、30.0%
   中小企業 4.8%、30.9%
中小企業の意欲が特に目立ちます。

非製造業は、高原状態を続けるのではないかと思われる状態ですが、消費者物価の上昇が異常なまでにエスカレートしているといった意見もあり、一部にこのままでは、再び買い控えから消費不振が経済成長を阻害するのではなどとも言われます。

政府は従来と同じ赤字国債で補助金バラマキの補正予算を検討中のようですが、矢張り弥縫策でない、本格的な経済政策で、活発な企業の状態が続くような日本経済の再建策を期待したいところです。