tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

資本主義が生き延び、共産主義が破綻した理由も「格差問題」

2017年06月26日 16時51分55秒 | 社会
資本主義が生き延び、共産主義が破綻した理由も「格差問題」
 こんな大きな問題を単純に「格差問題」で説明するなどトンデモナイと言われそうですが、あながちそうでもないように思っています。

 ピケティ―が指摘するように、資本主義社会では通常、格差は拡大するようです。しかし時に縮小することもあるとも言っています。

 一方、共産主義(社会主義)はどうでしょうか。資本が労働を搾取するという形で極端な格差拡大が起きる資本主義のまさに「アンチテーゼ」として生まれたのが、社会主義・共産主義でしょう。

 しかし現実の共産主義国家で起きたことは、貧しい一般大衆と、富と特権を一身に集める支配階級という現実でした。社会全体の幸せを願って登場したはずの社会主義・共産主義が、どこでどう間違えて異常な格差社会になってしまったのでしょうか、研究者はこのプロセスを「幻滅の進行過程」と言うようです。 そして、最終的には1991年のソ連崩壊です。

 一方、資本主義の方はどうでしょうか。このブログではこれまでも、経営者革命と社会保障・福祉国家の概念が資本主義を生き延びさせたと指摘してきました。

 経営者革命は、資本の強欲を体現した資本家を後退させ、「組織の最高のパフォーマンス実現を仕事とする」経営者を出現させ、人間と資本がうまく協力しあえれば、生産性向上のベストパフォーマンスが生まれることを実証しました。
 労使関係論や、人間関係論、行動科学の研究がバックアップしました。

 一方政治面では、自由主義、民主主義と結んで、社会保障制度、さらには福祉国家の概念の取入れと実行に進みました。

 ダーウィンの言葉を借りれば、環境に最も適した生物が生き残るという事で資本主義はその点の進化をしてきたのでしょう。その結果のサバイバルの成功でしょう。

 この動きを格差問題から見れば、その差は一目瞭然です。ソ連は一般大衆と支配階級の所得格差の拡大だけでなく、ロシアと連邦諸国の経済格差も拡大させたようです。
 これは資本主義では植民地時代に当たるのかもしれません。

 資本主義社会では、資本家にとって代わった経営者は、労使関係の種々動きに苦労しながらも、産業民主主義の思想を打ち出したり、日本のように、労使の信頼関係こそが経済発展をもたらすといった産業社会を作り上げたり、また、政治面では所得税の累進化を進め、相続税を強化し、社会保障の充実、福祉国家建設といったスローガンを掲げるに至りました。

 この時代は、ピケティーの言う「格差が拡大せずに縮小した第二次大戦後の一時期」に当たることは容易に読み取れます。

 こうして、この所の世界の大変動も、格差問題という側面からら見ると、何となく解り易いような気がするのですがどうでしょうか。