tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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FRB:12月の利上げは決まったが・・・

2016年12月15日 14時15分28秒 | 経済
FRB:12月の利上げは決まったが・・・
 アメリカのFRBで、フェデラルファンドレートの誘導目標の0.25%の引上げが決まりました。0.5~0.75%という事ですが、まだまだまともな経済状態からは程遠い低さです。

 ゼロ金利脱出から、1年かかって、やっと0.25%の引き上げですから引き上げのペースは当初の予想(年4回?)より大幅に遅いものですが、それだけアメリカ経済の回復が遅々という事なのでしょう。

 今回のイエレン議長の発言でも、 金融規制改革法(ドッド・フランク法)の重視を強調、暴走した金融経済への反省が色濃く出されていますが、それだけサブプライムローン→リーマンショックが世界の金融を危うくし、アメリカの信用を大きく毀損したという認識でしょう。

 さらにFRBは来年の金利引き上げを年2回から年3回にするという意向を発表しています。金融正常化を急ぐ気持ちはわかりますが、実体経済の方がどうなるかは、トランプ次期大統領の政策が動き出してみないと解らないところでしょう。

 勿論イエレン議長は、中央銀行の独立性の堅持は持論ですが、今回の利上げが全会一致で決まったのも、来年の利上げのペースを速めるという意見が多かったのも、現実を見れば、かなりはトランプ現象の中でのことのように感じられます。

 確かにアメリカ経済はゆっくりながら堅調な動きを見せてきてはいました。しかしそのペースは、0.25%の金利引き上げに1年を要するといった程度だったという事でしょう。
 矢張り大きな変化はトランプ現象に引っ張られていることは否定できないように思われます。

 しかし、トランプ現象というのは、あくまでも当面の現象であって、実際に政策の場面に入った時、一体アメリカ経済はどうなるのか、まだ誰にも皆目解らないのではないでしょうか。イエレン議長も、そのあたりの不明確さは、FOMCの全員が理解していると述べています。

 金利差拡大で「円安傾向」だけははっきりしていますが、日米ともに株価は気迷い症状でしょうか。マーケット自体も先行きは全く読み切れていないのでしょう。

 ただはっきりしているのはFRBの目指すところとして今回の会合では、長期的な政策金利中心を3.0%に想定しているという事でしょう。
 インフレ率は2%より高いのは良くないと言っていますから、実質金利はプラス1.0%という事になり、低成長の中ではそれなりに整合的でしょう。

 今回のFFレートの引き上げで、FRBの目指す所はかなり明確に理解されたと思います。
 問題は、トランプ現象が、トランプ政策になった時、経済政策、財政と金融の関係がどうなるかはまだ未知数という事でしょう。

 リーマンショックのように、金融が世界経済を震撼させることもありますが、今回は、金融政策の安定性は見えていて、トランプ次期大統領の外交、政治、経済政策の方が、より大きな、文字通り「政策変数」です。
 さて、新年1月20日以降に注目しましょう。
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 余計な冗談を付け加えますが、日銀はまた、金融緩和を続けるようです。コアコア物価がプラスの中で、ゼロ・マイナス金利という状況が続き、政府は、利息が付かない積立金で年金財政をやろうという状況(当然年金法改正が必要)がいつまで続くのか分かりません。利息が付かないから株式市場で稼ごうとしても(GPIF)、それでも損が多いので、今度はカジノの胴元をやろうというのでしょうか?