tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

財界はどんな日本経済を目指すのか

2016年12月06日 12時45分18秒 | 経済
財界はどんな日本経済を目指すのか
 昨5日、経団連の榊原会長は、定例記者会見で、2017年の春季労使交渉においても、従来路線を進む考えを示したようです。
 
 マスコミは、官製春闘4年目などと書いていますが、安倍総理が毎年「賃上げ、賃上げ」と繰り返す中で、矢張り政府の意向も忖度しなければならないでしょうし、経団連自身も、余裕のある企業は、ある程度の賃上げをしてもいいという考えもあるのでしょう。経済の勢いを維持するためには、賃上げを続けることが必要との主張のようです。

 確かに、経済をバランスのとれた成長に持ち込むための必要条件として、経済成長に伴う賃金の上昇は必要でしょう。このところの実質経済成長は、ごく僅かですが、「それなりの」賃上げは必要でしょう。(当ブログ「支払能力シリーズ」参照)

 ただ、企業は、変転する内外の経済情勢に敏感で、固定費上昇につながる「ベア」には二の足ですから、経団連も、賞与や手当など多様な形でといっているようです。
 「経労委報告」が発表されれば多分その中では「企業は自社の支払能力を勘案」といった言葉が入るのでしょうが、最近の経済状態に関連する数字を見てみましょう。

 名目経済成長率はこの所(2四半期)0.1、0.2%の低空飛行、消費者物価は0.4%程度の下落(海外要因が主、国内コスト関連部分は微かに上昇)、10月の賃金は(毎月勤労統計)は前年比0.1%の上昇(所定内は0.3%上昇、超過勤務手当の方はマイナス1.4%、例の事件の影響か?)、所定内給与では、正規労働者0.2%上昇、パートタイマー0.3%上昇…、といった状況です。

 何れにしてもほとんど静止状態、かすかな前進、といったところですが、 GDPの四半期報に見るように、不振の原因は家計消費の不振、その原因は賃金低下ではなく平均消費性向の低下というのは明らかです。

 正規よりパートの賃金の方が上昇というのは、格差是正の見地からはいいのですが、正規の賃金は就業規則で決まり、パートの賃金は市場(労働需給)で決まっているのですから、これは景気次第、円レート次第でしょう。

 同じように、企業の収益も円レート次第で、この所の「トランプ円安」で株価は上昇ですが、「トランプ・ツイッター」は心配の種、いつどうなるかわかりません。

 この不安定さの中で、「出来るところは賃上げを」といってもできる自信のある所はあまりないでしょう。これは企業も家計も同じです。従って、ともに貯蓄に励みます。貯蓄してもゼロ金利です。それでも貯蓄するのが日本人です。

 財界はどんな日本経済を望んでいるのでしょうか。安倍さんはカジノと賃上げですが、経済三団体などは、政府に対して、国民に対しても説得力のある、あるべき日本経済の姿を強力に提言してくれないのでしょうか。