tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

背伸びしたままではジャンプできないⅡ

2014年04月27日 09時30分26秒 | 経済
背伸びしたままではジャンプできないⅡ
 今アメリカはテーパリング(異次元の金融緩和の修正)をびくびくしながらやっています。世界の種々のマーケットが心配しながらそれを見守っています。

 基軸通貨国アメリカは長期の下痢症状(経常赤字)で体力を消耗しています。異次元の金融緩和はドーピングのようなものです。ドーピングで体力をつければ、病気(下痢症状)も治ってくれるのではないか、というのが、バーナンキ→イエレンの主導するFRBの政策です。
 かつても同じ表題でブログを書きましたが(2012/5/8)、基本は何も変わっていません。

 家計でも国でも、赤字を治すのには、もっと稼ぐか、支出を切り詰めるかしかありません。アメリカは金融緩和というドーピングで、もっと稼ぐアメリカを実現しようとしているのです。
 もっと稼ぐアメリカになってきているかどうかは「アメリカ人がより多く働く状態(雇用増)になったかどうか」で解る、そして「雇用が増えれば消費も増える」ということで、アメリカの雇用指標の動きは世界の経済指標の中でも注目の的です。

 これで済めば大変ラッキーということですが、まともな医者ならば「矢っ張り下痢の原因を治さないといけませんね」と言うでしょう。
 そしてアメリカの赤字(下痢)の原因は「ついつい収入より余計使ってしまう」という「心の病気(浪費癖)」なのです。

 その原因は、覇権国家としての体面を保たなければならないという気持であったり、アメリカンドリームに囚われた「実力以上の生活への願望」かもしれません。
 しかし「身の丈以上に背伸びしたまま更にジャンプしたい」と言っても無理でしょう。

 ジャンプのためには一度膝と腰を屈しなければなりません。経済で言えば、一旦支出を抑えて、黒字を出し、それを投資して成長の力にするというプロセスです。
 アメリカは覇権国で、基軸通貨国で、世界最大のマーケットの1つだから、アメリカが支出を抑えたら、対米輸出の減少など世界中が大変だ、という意見もあるでしょう。
 
 しかしそれをしないと、とめどないドルの切り下げやサブプライム・リーマンショックのような事態、異次元の金融緩和やその巻き戻しのテーパリングで世界経済にバブルやその破裂など無用な混乱を起こし続ける可能性が極めと大きいのはご経験の通りです。

 ちょっと長くなりますが、アメリカ以外ではこういう場合、どんな治療をしているのでしょうか。

 日本の場合、戦後復興の中で起きたこうした状態に対しアメリカはデトロイト銀行頭取のドッジ氏を派遣し政府はその助言を受けてドッジラインという緊縮政策を取り、日本経済はドッジ不況(安定恐慌)を経て健全性を取り戻しました。

 近くは韓国がアメリカのヘッジファンドが引き起こしたアジア通貨危機の中でデフォルトの危機に瀕し、IMFからの救済融資を受け、その結果IMF管理になり、1997~2000年の間、国民は耐乏生活を強いられました。

 さらに近くは、EU,ユーロ問題におけるギリシャ、スペインなどの例でしょう。当初は反政府デモや投石などの混乱もありましたが、いずれの国も2年前後の耐乏生活、GDPの縮小を経て赤字国から黒字に転換、経済再生の道を歩み始めています。(残念ながらフランスの経常赤字は改善が見られません。いつかは問題化するでしょう。)

 赤字国が黒字国に転換し、経済を健全化するには「国民の意識」を変えなければならないのです。
 さて、アメリカだけは例外なのでしょうか、それとも・・・・。