tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

インフレを正確に理解しましょう:4 インフレ理解の纏め

2014年04月19日 09時31分38秒 | 経済
インフレを正確に理解しましょう:4 インフレ理解の纏め
 デフレはまともな経済活動が成立たない深刻なものです(2009年11月23日付「デフレ3悪」参照)。
 インフレは1~2パーセントのマイルドなものならば、経済活動を活発にし、経済成長を促進すると考えられています。

 その理由は多分こういう事でしょう。
 デフレの時はモノを持っていると値下がりで損、借金の負担は重くなる。一方、カネを持っていると物価が下がる分だけ購買力が増える。
 インフレの時は、モノを持っていると値上がりで得、借金の負担は軽くなる。一方、貯金はインフレで目減りする。稼がないとじり貧。

 つまり、デフレの時は守りが一番、インフレの時は攻めないとじり貧、ということで、インフレの時の方が、経済活動を積極的にやらざるを得ないのです。マイルドなインフレは、経済活動を活発にし、その結果所得も増え、雇用も増えて、働けば働くほどよい結果が出ます。
 
 では、インフレが全ていいのかというと、インフレもマイルドなものならいいのですが、経験的にはインフレは加速する傾向があり、急速なインフレ、いわゆるハイパーインフレは、正常な経済活動を困難にします。朝には昨日より、午後には午前より物価が上がったり・・・、ドイツでは物価が1兆倍になったりした経験もあります。

 ということで、経済活動に良いと考えられる緩やかなインフレを安定的に維持するためには「賃金・物価・生産性の関係」を政策当局はもちろん、労使も国民も良く理解して、インフレが行き過ぎないようにすることが大事です(前回参照)。

 日本はこれを守って1980年代前半までは「ジャパンアズナンバーワン」といわれ欧米の羨む 良い経済のパフォーマンスを実現しました(ミザリーインデックス=インフレ率+失業率が最低)。
 しかし、その日本経済を「失われた20年」という地獄に落としたのは、プラザ合意、リ-マンショックによる円高です。(2009/2/6「為替レートとゴルフのハンディ」参照)

 御承知のように中国は、欧米から人民元を切り上げるべきだと言われても、人民元の価値を決めるのは中国自身だと言って頑として聞き入れません。私の会った中国の経営者は、「我々は日本の失敗から学んでいます」とか「日本の経験は他山の石」「前車の轍を踏まず」などと言います。

 このように、「賃金、物価、生産性、そして『為替レート』」の関係は、一国経済を決定的に動かす要因です。これらの内、賃金、物価、生産性は、その国の人々が努力すればよい関係を維持できるもの、まさに自助努力の産物です。しかし為替レートは、跳梁する国際投機資本の思惑の中にあります。

 最も気を付けるべきは、為替レートの変更で一国経済をインフレにもデフレにもできるという現状の国際経済システムです。
 ここまで来ると、問題は、今の資本主義(マネー資本主義化)が正常なものかどうかという、正に今、世界経済が直面する深刻な問題にたどり着きます。
 IMFも世界銀行も、基軸通貨国アメリカもG20も、未だこの問題にキチンと対応して(出来て)いません。