tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本の景気の現状はまだ若い

2014年04月03日 11時02分53秒 | 経済
日本の景気の現状はまだ若い
 2008年の9月25日付で>「季節も景気も秋?」と書かせて頂きました。
 丁度その10日前の9月15日、リーマンブラザーズが破綻し、アメリカ発のサブプライムローンの証券化問題の帰結が改めて明確になったようでした。

 日本の金融機関の損害はそれほど大きくないなどといわれましたが、既に円はじり高の状況になっていました。
 プラザ合意の円高の時はG5で一応の挨拶があってのことですが、この時は挨拶などはなく、国際投機資本が、円は比較的安全と読んでの円高でした。これでまた円高デフレで日本経済は当分苦しむな、というのが「季節も景気も秋?」と書いた理由でした。

 結局円は$1=¥120から80円になり、「いざなぎ越え」などといわれた状況は吹っ飛び、日本経済は、1昨年まで、足掛け5年、塗炭の苦しみにノタ打つことになりました。
 昨年4月の日銀の方針変更による20円幅の円安で、何とかデフレ脱出に目処が立ち、株価も上昇、雇用も改善、消費増税も予定通り出来る状態にまで来ました。

 しかし、客観情勢を見れば、アメリカの異次元金融緩和の巻き戻し(テーパリング)、アジアの経済・政情の不安など種々問題含みです。一方日本は、異次元の金融緩和継続の姿勢です。円安で改善するかと思われた貿易収支は赤字が拡大、経常収支まで赤字計上となる状況です。

 これを日本の競争力の低下と読むか、復興援助その他の政府の大盤振る舞いで、GDPの使い残しがなくなったためと見るか、意見は分かれましょうが、国際投機資本にとってはこれまでより「円は安全通貨」と見にくくなっているかもしれません。

 そうであれば、よほどの政策失敗がない限り「円高にはなりにくい」状況が続き、それを前提にすれば、今後、日本の経済活動は昨年のように急速ではないにしても次第に活発になっていくと考えられるのではないでしょうか。

 円高基調が残っていた「いざなぎ越え」の時期でも、日本企業は、技術開発とコストダウンの努力で、収益を改善してきました。今回はもう少し状況はいいようです。
 労使も春闘をやる元気が出、雇用情勢も改善が明確で、国民の気持ちも何となく明るくなってきているように感じられます。

 政府も、多少自画自賛の気味はありますが経済は回復基調と読んでいます。消費税増税で多少の揺れはあるかもしれませんが、そんなに大きくはないような気がしています。現状、「日本の景気はまだ若い」と言っていいように思えます。

 問題は、政策当局が、能くこの基調的な条件を壊さずに維持改善できるかどうかにかかっているのではないでしょうか。
 経済予測は、天気予報とは違います。こうすればこうなるという政策との因果関係はかなりはっきりしたものです。政経分離といっても、中国、韓国との関係が示すように悪口を言い合いながら、ビジネスは別だというわけにはなかなかいきません。

 経済的な条件は整ってきました。日本の景気はこれから伸びるという若い状態にあるようです。現状民間は企業労使も、消費者もより良い明日を目指して頑張っています。
 政府の誤りない舵取りを願いたいものです。