tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

来年度(平成26年度)政府経済見通し:閣議決定版

2014年01月25日 12時15分30秒 | 経済
来年度(平成26年度)政府経済見通し:閣議決定版
 昨1月24日、来年度の政府経済見通しの閣議決定版が発表されました。政府支出の内訳や分配国民所得、GDPデフレータ、予想平均為替レートなども出ているので、覗いてみたいと思います。

 もちろん例年と同じで、既に閣議了解版で発表された数字に変更はありません。分配国民所得の内訳が出たということは雇用者報酬の額が出たということなので、「賃上げ、賃上げ」と言っている政府が、どんな見通しをしているのかも解りますので、その辺りもしっかり見てみたいと思います。

 先ず、前提とする為替レートですが、年間平均で$1=¥100ということになっています(今25年度実績見込みは99.2円)。現状は104円前後で、昨日は103円台になって、日経平均は300円も下げ、105円に近づくと株価は上がるといった状況ですから、100円という見通しは、現状よりかなり円高に振れるということです。

 企業でもそうですが、安全を見込んで少し円高の見方をしておくということなのかもしれませんが、政府が本気で100円と考えているのだったら、賃上げも物価も様子が変わって来るだろうと思われますので、本音は104~105円ぐらいを考えているということにしておきましょう。

 ところで、問題の雇用者報酬ですが、名目2.0パーセント(今年度実績見込み1.1%)の伸びです。旗を振っている割にあまり伸びないとの予想です。
 一方、消費者物価は3.2パーセントの上昇ですから、実質はマイナスです。GDPデフレータはというと、1.9パーセントですから、それ以外の物価上昇要因もかなり大きいということになります。後述のようにコストプッシュは小さいのですが。輸入物価上昇がエネルギー価格を含め、かなり大きいという予想でしょうか、本当はもっと円安を見ているのかもしれません。

 GDPデフレータが1.9パーセントというのは、消費増税の転嫁状況にもよりますが、おそらく、インフレターゲット2パーセントという国際公約のようなものを意識しつつ、まだデフレが残っていると考えているのでしょうか、よくわからない数字です。
 前回(12月28日付)も指摘しましたように実質国民経済生産性上昇が1.2パーセントありますから、雇用者報酬増2.0パーセントを雇用者1人当たりにすれば、(雇用者の伸び0.5%)1.5パーセント増で、コストプッシュは0.3%と僅少なのに、消費増税は物価の動きを分かりにくくします。

 分配国民所得の中の企業所得は1.9パーセント増で、分配は、僅少ですが雇用者に有利です。
 その他、公共投資(公的資本形成)の調達価格が民間の設備投資に比べて異常に高いなどよくわからない点もありますが、実際の日本経済のパーフォーマンスは国民の努力でこれより良くなることを信じたいと思います。

 最後に、矢張り経常黒字4.7兆円は、最近の状況(赤字)を勘案し、セロぐらいにすれば、国際投機資本が「いよいよ日本も双子の赤字か」と円を買わなくなって、「円安誘導になるのに」などと余計なことを考えました。