tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国内生産比率引き上げに動く企業

2014年01月08日 22時19分22秒 | 経済
国内生産比率引き上げに動く企業
 今日は朝から我々を心強くするようなニュース流れてきました。
 キヤノンが海外展開しているデジタルカメラの高級品などの生産を大分工場に引き揚げて来ることなどで、国内生産比率42パーセントを50パーセントに持って行くという方針を打ち出したというのが1つです。

 もう1つはダイキンで、中国企業に委託していたエアコンの生産の一部を同社主力工場の滋賀製作所に切り替えるというニュースです。

 $1=¥105といった新しい状況が見通せるようになって、愈々こうしたトップ企業での生産の海外移転促進という方向からの転換が見えてきたようで、これは日本経済、日本人全体にとって、大変な朗報と大いに評価すべきでしょう。

 かつて、トヨタの国内生産300万台死守をこのブログでも高く評価すべきと取り上げましたが、国内生産回帰の動きの拡大が広がることになれば、日本経済の雰囲気も大いに変わるでしょう。

 株式市況の歓迎の様子で、今日は久しく動きの少なかったキヤノンの株価も急上昇、ダイキンも大きく値上がりしたようです。

 確かに25円幅の円安は、日本の製造業にとって国際的には大変なコストダウン効果です。勿論、プラザ合意以降の強いられた異常な円高の修正でしかないのですが、繰り返し述べますように、それこそが、現在の日本経済回復の原動力だということは明らかです。

 考えてみれば、アメリカの政策変更で、元々基盤の脆弱な新興国の経済は動揺が予測され、生産拠点の海外移転に不測な問題が生じることは予想されてこなかったわけではありません。しかし打ち続く円高進行で、日本企業にとってはやむに已まれぬ行動だったという事でしょう。

 昨年来、日本の政府・日銀が行き過ぎた円高の弊害を理解し、円高是正に乗り出したことに対して、企業が本来の対応策を取り始めたことをともに喜びたいと思います。
 円高是正でコストの下がる日本、労使関係の安定で自家製のコストアップは防除可能な日本です。

 それに対して新興国の場合は通貨がドルリンクであったり、不安定な労使関係からコストアップの可能性が大きかったり安定経営を脅かす要素は少なくありません。
 圧倒的な低賃金で競争力を維持しているというのが一般的パターンですが、それが揺らいでいるのです。

 円高さえ是正されれば、日本の経済社会の安定性が改めて見直されるのは必然の傾向という事でしょう。
 もちろん生産拠点の海外移転から国内回帰へといった問題は、簡単なことではありません。しかし日本企業の国内経済社会の安定感への信頼はますます強まり、特に高度化した生産部門の国内回帰は確実な流れになるのではないでしょうか。

 そしてそれは、付加価値の生産と分配の国内への回帰、通常の言葉で言えば、雇用の安定と賃金の上昇に貢献し、それはさらに国内の経済社会の安定、産業基盤の安定と強化を促進するといった好循環を生むことになるでしょう。

 政府は円レートの安定化を約束し、企業は持ち前の先見性と洞察力を発揮して、国内回帰を進め、日本経済社会の早期の回復、正常化、安定化を積極的に進めてほしいものです。