tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカの量的緩和縮小継続の見方

2014年01月30日 14時18分39秒 | 経済
アメリカの量的緩和縮小継続の見方
 昨29日、アメリカのFOMCは差し当たっての量的緩和縮小路線(テーパリング)の継続を決めたようです。
バーナンキさんにしてみても「低金利政策+異次元の量的緩和」でアメリカ経済の危機を救ったので、あとはその副作用(住宅バブルの復活など)がひどくならないうちに異次元の量的緩和は止めて、低金利中心の幾らかでもまともな経済運営にしたいという気持ちはあるのでしょう。

 アメリカ自身の失業率も物価も「そう悪くはない」と言い張って、テーパリングをやり通すつもりのようです。
 当然、アルゼンチンやトルコの通貨下落については「われ関せず」ということで、昨日の声明では触れてもいません。

 「そう悪くない」といえるのも、本当は、バーナンキさんの政策のせいなのか、あるいはシェールガスという僥倖のせいなのか、私などは本当の所は解らないと思うのですが、それでも、世界各国にどう影響しても、アメリカの景気さえ良くなればいいみたいな政策が見直されることは長い目で見ればいいことだと思います。

 影響を受けたトルコは大幅に金利を引き上げて、リラ下落に対抗しています。ただ、「通貨下落→インフレ激化」を恐れる新興国が金利を引き上げれば、当然経済には不況効果を持ちます。
 アメリカ経済も緩和縮小で多分、余り景色は良くなくなるでしょう。テーパリングの継続は世界経済の下振れにつながる可能性を持つでしょう。

 しかし、長い目で見れば、それが世界経済の健全化に進むまともな道だと考えるべきという意見もありますし、私もそう思っています。
 これからは日本も含めて、不健全なアメリカ経済に、出来るだけ振り回されないようにするという知恵が必要になるのではないでしょうか。
 
 次のFOMCではイエレン女史が采配ということになりますが、さて、こうした世界的副作用をアメリカが如何に考え、いかなる路線を選択することになるのでしょうか。6週間後まで、また、いろいろなことがあるでしょう。

 アメリカ自身シェールガスの恩恵も利用して、多少苦労でも出来るだけ早く経済そのものを「身の丈」に戻して、健全化(万年赤字克服)を目指すべきでしょう。
 迎え酒で当面を凌ぐような従来路線(緩和政策)に戻るのか。賢明な対応を期待したいと思います。

 日本の場合は新興国と違って、アメリカの緩和縮小は円高をもたらしています。
 アメリカの政策次第で揺れ動く国際投機資本の思惑に翻弄されてきた日本ですが、日銀の為替政策も、それを適切に安定化するような機動的な方策、あるいは確固たる意思表示によって、国際投機資本の思惑を牽制し、影響を極小化するような「ウルトラC」を考えたらいかがでしょうか。

 アベノミクスも、既定路線を推し進めるだけではなく、今後のアメリカの行動次第で変化する国際的な環境変化に応じた柔軟な政策が必要とされるのでしょう。
 さて、巧くやってくれるでしょうか。