tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

中国の経済発展:1つの見方

2014年01月22日 14時33分13秒 | 国際経済
中国の経済発展:1つの見方
 中国の貿易依存度につては、これまでも2度ほど書いてきました。私はかつて下村治博士が指摘していた「貿易依存度はその国の人口の規模に関係がある」という考え方に基本的に賛成で、そんな目で各国の貿易依存度を見て来ました。 そうした目で見ると中国の貿易依存の大きさが大変気なっていました。

 貿易依存度は、「(輸出額+輸入額)/名目GDP」という形で計算されます。日本の場合は大体20~30パーセントですし、アメリカは20パーセント前後です。
 もちろん、貿易依存度に影響するのは人口規模だけではありません。新興国の場合は一般的に貿易依存度は高いですし、また、貿易自由化の程度によっても当然影響を受けます。
 グローバル化の進展は当然貿易依存度を高めますから、アメリカの貿易依存度も長期的には高くなってきています。

 御存じのように、香港やシンガポールの貿易依存度は100パーセントを越えてますが、これは人口が少ないからで、日本やアメリカはどんなに自由化してもそうはなりません。

 EUでもベネルックス3国のような小さな国は貿易依存度が高いですが、EUを1つの国と見れば、殆どが域内の輸出入になって、貿易依存度は小さくなります。もし世界中が1つの国になれば、貿易依存度はゼロです。

 こうした前提を置けば、人口13億人を有する中国の貿易依存度が50パーセント前後で、自由化が進んでいて人口が3億程度のアメリカやEUよりも大幅に高いのは何故だろうかということになります。

 これは恐らく中国経済には国際貿易などに関わりない在来部門が未だ大きく残っており、その部分の人口を差し引いて考えないと先進国との比較は適切でない(これは新興国にはある程度共通の現象で、中国の場合著しい?)ということではないでしょうか。

 今回発表の中国の経済成長率7.7パーセントが「内需拡大中心の経済に移行」の成果という解説がありましたが、もしそうならば、中国国内の均質化が次第に進み、国内生産・国内消費が進んで、貿易依存度は徐々に下がってくると考えられます。

 JETRO発表の中国の輸出入とGDPの統計から貿易依存度を計算しますと、2006年の65.2%がピークで、2012年には47.0%まで下がってきています。
 中国内部の経済的均質化が進み、在来部門の近代部門への脱皮、国内の格差是正が進捗すれば、これは中国の政治・経済の安定化にもつながり、同時に、異常に高い貿易依存度の低下傾向を生むことが考えられます。

 中国の安定発展は、日本、アジアにとっては勿論、世界にとって大変望ましい事であることを思えば、今後、継続して順調に中国の貿易依存度が低下していくことを願いつつ、その動向を見守るというのも、中国観察の1つの見方ではないでしょうか。