tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

混迷深まるアメリカ

2013年10月07日 08時11分21秒 | 国際政治
混迷深まるアメリカ
 アメリカの混乱が連日報道されます。
 議会のねじれで、いわゆるオバマケアが議会を通らないので10月からの新年度の予算も通らず、その影響で政府機関も一部停止、オバマ大統領はTPP出席を急遽取りやめということになりました。

 もともと、アメリカが自らの都合で言い出したTPP,今回もオバマさんが議長の予定でした。アメリカ自体がまさに迷走を始めたように見えます。自由の女神も閉鎖、自由の女神が「不自由」になったようです。

 世界の盟主を自認するアメリカがこの調子では本当に困ったことですが、問題の根は、もっともっと深い所になると感じている方々も多いともいます。

 確かに当面の議会混乱の原因はオバマケアでしょう。政府が国民全員に何らかの医療保険に入れということが、自助努力を旨とするアメリカ本来の在り方に反するという共和党に主張は、一見それらしく聞こえます。

 しかし、オバマケアで妥協が成立したとしても、その先には、財政の壁(崖)があります。国債発行額の限度16兆7000億ドルという限度を外さない限り、これ以上の財政支出は出来ないという所(10月17日)まで来ているのです。

 もともと、こういう限度を決めたのは、際限のない財政の不健全化を止めようということですから、当然限度の中で遣り繰りするのが政府の義務でしょう。
 しかし、それは国民の反発を買って、とても無理というのが、民主、共和両党に、最終的には多分共通(?)の認識ではないでしょうか。

 実はこちらの方が、ずっと重要な問題だという解説は多いようです。そしていずれ限度を改定して、何とか解決し、アメリカがデフォルトにならないようにするのだろうとか、しなければ世界経済が安定しないといったのが多くの論調です

 確かに借金(国債発行)の限度を引き上げれば、デフォルトは回避できるでしょう。では、妥協が成立して、デフォルト回避が出来たら、それで「メデタシ、メデタシ」になるのでしょうか。
 皆様疾うにお解りのように、またこのブログでも繰り返し繰り返し何度も指摘していますように、これは問題解決の単なる先延ばしでしかないのです。

 日本と違って、アメリカは経常赤字の国ですから、借金は外国からすることになります。今、アメリカに喜んで金を貸すところがあるでしょうか
不健全な超金融緩和を継続し、当面無理な工面で遣り繰りしても、同じ問題は規模を拡大してまた起こります。
 こんなことを繰り返しても何ら、問題の本質的解決にはつながりません。本質的解決は、アメリカ人が、自分の稼ぎの範囲で暮らすという「本来の自助努力」の在り方に立ち帰った時、初めて一歩を踏み出すのです。

 しかし、誰もそこまで厳しく指摘しないようです。ポピュリズム蔓延のせいでしょうか、かつて、「国が国民に何をしてくれるかではなく、国民が国に対して何が出来るかが重要だ」と国民に訴えたケネディ大統領は暗殺されました。
 アメリカのリーダーにはそのトラウマがあるのではないかというのは勘ぐり過ぎでしょうか。