tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

バーナンキさんは何をして来たか

2013年10月31日 10時01分11秒 | 経済
バーナンキさんは何をして来たか
 今度のFOMCについては、大方の意見は「サプライズなし」という事でしたが、結局そうなったようです。
 毎度書いていますように、出口戦略はなかなかうまくいきません。それは当然で、実は実体経済というものは本質的にそんな巧い具合には行かないものだという事でしょう。

 バーナンキさんは2006年にFRB議長に就任、2007~8年のサブプライム問題、リーマンショックによる世界不況対策に当たるという回り合わせになりました。
 考えてみればこれは大変な事なのですが、御本人は大恐慌の研究家で、「金融を緩めれば大恐慌は避けられた」という主張だったそうで、ある意味では「まさに腕の見せ所」ということだったのかもしれません。

 そして、アメリカは超金融緩和路線を取り、世界恐慌を何とか避けたという評価になったのでしょうか。 しかし、よく考えれば、問題はまだまだ解決されてはいないのです。出口戦略という仕上げは、まだ先送りでお茶を濁している段階です。

 もともとサブプライム・リーマンショックはグリーンスパンFRB議長の時代に準備され、優良債権でもない「サブプライムローンの証券化」をAAAと称して世界中に売り捌き、アメリカの住宅バブルの破裂とともに、世界中の大銀行のB/Sに大穴があき、アメリカの銀行も返り血を浴びたというのがリーマンショックでしょう。

 6年前、2007年5月に、このブログで、「アメリカ経済好調の秘密」を書きましたが、グリーンスパン議長も「米国はドルを刷れるので、米国債が債務不履行にはならない」という趣旨のことを言っていたそうです(wikipedia)。
 バーナンキさんはそれをさらに徹底した超金融緩和という手段で乗り切ろうと試みたというのが私の受ける率直な感じです。

 事の根本原因は、アメリカがいつまでたっても経常赤字を直せないことにあるわけです。赤字体質を直さずに、借金やドルの切り下げ、金融緩和(ドルの刷り増し)で済まそうという所に問題があるわけです。

 ドルは基軸通貨ですから、アメリカの金融緩和は、世界中の金融緩和となり、一部は途上国の経済成長に貢献し、一部は世界中にバブルの種をまいたようです。
 ということで、バーナンキさんは、自分の在任中に、金融緩和の矛を収めて、アメリカ経済の正常化に見通しを立て、引退の花道としたかったのでしょうが、実体経済はそれを許さないことが見えてきたというのが現状でしょう。

 今回のFOMCで、結局、出口戦略は先延ばしとなり、バーナンキさんはご自分の経済実験をやりかけで、後はイエレン女史に任せることになったわけです。
 出口戦略に自信があって、やり残しに心残りなのか、後片つけをしなくてよくなったのでほっとしているのか、バーナンキさんの心境は知る由もありませんが、金融緩和で実体経済の不況が救えるという「経済理論」は一体どうなるのでしょうか。