tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政府・日銀、円買いへの備えは万全か

2013年10月08日 11時36分50秒 | 経済
政府・日銀、円買いへの備えは万全か
 前回触れました様に、アメリカの財政の崖は旬日に迫っています。民主、共和両党は如何なる対応をするのか世界が注視しています

 国債発行限度額の改定が政治抗争の中で遅れたり、暫定予算が不成立といった事態になれば、国債の利払いが滞り、政府の行政機能は不全となり、デフォルトなどとマスコミが報じれば、リーマンショックを上回る世界経済の大混乱を引き起こすといった論調もあります。

 実体社会、実体経済の分野では、こうした混乱は何とか回避したいと考えるのが当然で、IMFのラガルド専務理事も、事態の早期解決に向けてアメリカが良識を発揮するように促したようです。

 私は個人的には、問題の本質には触れずに、弥縫策ばかりに言及するのでは、ただ問題を先延ばしにし、より深刻にし、アメリカにとっても、世界にとっても決して良いことではないと思いますが、問題の期限が旬日に迫れば、それも致し方ないことかもしれません。

 やはり普段から、アメリカの経常赤字垂れ流しがいつまでたっても止まらないという状態を、出来るだけ早く是正し、世界経済に無用な混乱を招くことがないよう、アメリカ政府は勿論、アメリカ国民自体も認識し、改善への自覚を持つように促す発言や行動が必要なのでしょう。

 このままいけば、世界は、アメリカは益々頼りない国という認識を強め、次第にアメリカ離れ、アメリカ・パッシングを迫られることになるでしょう。
 今のアメリカを見て、何となく徳川幕府の末期を連想するのも、日本人なら多分私だけではないと思います。

 そうした中で、金融の混乱にビジネスチャンスをと手ぐすね引いているのは国際投機資本のギャンブラーたちでしょう。
 おそらくその時の安全通貨のターゲットになるのは相変わらず日本円ではないでしょうか。このところ既にじりじり円高が始まっています。

 日本としてはこれは大変なことです。リーマンショックで30円ほども円高になり日本経済は最悪の不況に呻吟しましたが、もしアメリカの失態のトバッチリで、改めて20円の円高にでもなれば、アベノミクスなどは雲散霧消し、昨年までのデフレに戻るでしょう。

 国民が、そして企業が「もう円高に戻ることはない」と思うことが、今の日本経済の回復基調を支えているのです。政府日銀は、その辺りを敏感に感じ取り、国際投機資本の円買いに対抗する徹底した手段と行動力を持っていることを国民に周知するべきでしょう。

 手の内を曝け出すことは、その手段の内容によっては得策ではないかも知れません。しかし、その備えがあることを明示することが、国民の安心だけでなく、国際投機資本の思惑を封じることにもなるでしょう。
 政府・日銀の早期の的確な意思表示が求められているような気がします。