tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

雇用問題を考える:雇用の日本らしさとは

2013年06月04日 11時17分32秒 | 労働
雇用問題を考える:雇用の日本らしさとは
 先日、4月の失業率が発表になりました。4.1パーセントでした。昨年4月は4.5パーセントですからこの1年でかなりの改善を見ました。失われた20年で失業者は増加しましたが、それ以前、日本経済が安定していた頃は2パーセント台というのが普通でした。
 
 日本の失業率は国際的に見れば、異常と感じるぐらい低いのです。かつては、統計の取り方で低いなどという説を唱える学者もいて、正確に統計の取り方をすり合わせて比較したりする研究もありましたが、結局、日本の失業率は確かに低いということがはっきりして、日本は雇用を大事にする国という結論になりました。

 失われた20年で日本の失業率も悪化しましたが、それでも、ピークで5.4パーセントだったと記憶します。
 それに引き換え、欧米諸国はどうでしょうか。EUでは失業率が12パーセントを越え問題になっているようですが、最近の国別の数字を見れば、
  ドイツ     5%
  イギリス    8%
  フランス    11%
  イタリア    12%
  スペイン    26%
  ギリシャ    27%
  アメリカ    8%    (各国統計)
といったことになっています。ドイツを別にすれば軒並み日本の2倍以上です。

 今後も為替レートが再び円高に振れない限り、日本の失業率は低下していくだろうと見ていますが、これは法律や制度のためというよりは、日本の労使の考え方や態度・行動によるものでしょう。

 望まれている非正規社員の正規化問題の中で、正規雇用の多様化の問題が提起されています。短時間正社員とか、勤務地限定正社員とかいった形は従来からありましたが、更にいろいろな形も考えられるようです。

 このブログでも繰り返し取り上げていますが、自由な勤務を望む非正規社員は雇用者のほぼ20パーセントで、現状35パーセントほどに達している非正規の内、15パーセントほどは早期の正規化が望まれます。

 もともと日本企業は正社員好みでした。企業組織の人間的要素を重視する日本企業では、長期勤続が期待され、「わが社」とか「うちの会社」といった人間関係の絆の醸成に繋がり、安心して長期の教育訓練体制を組める正社員は最も望ましい形だったわけです。

 わが社のために一生懸命働いてくれる社員の育成には基本的に時間がかかるのです。円高デフレで余裕がないため、やむを得ず人員削減、非正規社員増加に走った日本企業ですが、円レートの正常化で状況は変わって来ています。

 そうした中での正規社員の多様化問題ですが、選択肢が増えるという点からは、労使双方にとって、プラスになることも考えられます。
但し基本は、法律や制度の設計ではなく、企業や働く人々、就中、経営者の考え方によります。
 労使の雇用を大事にする考え方をベースに、企業社会の人間関係、チームワークを、長い目で見た企業の成長発展、社会の安定につなげるような、日本らしい雇用の在り方を生かすための方法の1つとして、雇用の制度・在り方を考えてほしいと思います。