tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本型技術開発の強み

2013年06月14日 12時32分54秒 | 科学技術
日本型技術開発の強み
 製造業の海外移転が多い中で、トヨタ自動車の経営者の方が、「トヨタは、自動車のすべてを、国内で一貫して生産できる体制を維持する」と言っておられるという話を聞きました。

 それを聞いて思い出したのがソニーの昔話です。ソニーが東京通信工業といったころ、アメリカでW・ショックレーらによって開発されたトランジスタ(当時補聴器ぐらいにしか使えないだろうと言われていた)でラジオを作ろうと努力していたのですが、アメリカのリージェンシーという会社が、先に作って発売したそうです。

 しかし、結果的には、ソニーの開発力が圧倒的で、トランジスタラジオは、ソニーを世界的に有名にすることになりました。その理由は、リージェンシーはトランジスタをTI社から買っていたが、ソニーは自社で作っていたからと説明されています。
  
 最近のパソコンでも、アメリカの企業は世界中から安い部品を買ってきて、それで完成品を作り、安価で世界中に売っています。こうした方法はアメリカの得意技で、その原点はウインチェスター銃にあるのではないでしょうか。
 規格の決まった部品を集めて銃に組立てるという生産方法を開発したのはウインチェスター銃が元祖と言われています。

 日米どちらの方法もそれぞれ特徴を持ちます。一定の形が決まって、安く量産という場合にはアメリカ式がいいかもしれません。しかし、どんどん改良進歩が続き、製品が進化してくような場合には、日本式の方が優れているように思われます。

 自社、あるいは気心の通じたグループ企業で部品や材料まで製造している場合には、改良品、新製品の試作品などの場合は圧倒的に有利なのではないでしょうか。設計の段階から、部品や基礎材料の研究まで、十分な摺り合せが出来るからです。
 日本では、その結果いろいろな応用が出来過ぎて、「ガラパゴス化」などという現象が起きるのかもしれません。
 そう考えれば、ガラパゴス化は一種の強みと言うことも出来そうです。

 モノを作るのは人間です。新製品開発のような分野では、それに関わる人間のチームワークが決定的に重要でしょう。そこで物をいうのが、関わる人達の協力関係その底にある人間関係でしょう。
 世界のどこでも成し得なかったロータリーエンジンン実用化などはその好例でしょう。

 加えて言えば、欧米ではengineerとtechnicianは、通常、職制で明確に区別されます。日本では、境目が曖昧なままに、多くの場合一緒に仕事をします。これは大きな強みでしょう。本田宗一郎さんではありませんが、社長が現場で仕事をします。

 日本式のやり方にも欠点はあります。例えば、グループへの参入が困難などといいうのは一例でしょう。欠点是正は当然として、今後日本の進む道の中で、世界で出来ない技術開発、更にその製品化といった挑戦が益々大事になって来ますから、日本的なアプローチというのは、必ずや大きな強みになるのではないと思われます。
 皆さんと共に、技術立国、日本の明日を期待しましょう。