tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカは経常黒字国になるか(偏見予見)

2013年04月03日 15時21分14秒 | 経済
アメリカは経常黒字国になるか(偏見予見)
 前回、アメリカのシェールガス・オイルの規模についての多少の手がかりなりそうな数字を見てみました。
 マスコミで見る解説が正しいのかどうかまだ解りませんが、アメリカのGDP比で年間3~5パーセントになる経常赤字を埋めるぐらいの規模になりそうな気配も十分あるように見られます。

 今のロシアではありませんが、では、アメリカも世界最大(?)の産油国になって、経常赤字国から経常黒字国に転換する可能性があるかというと、私には、どうもその可能性は小さいように思えてなりません。

 もちろん、シェールガス・オイルの産出量が巨大なものとなれば、アメリカの政府、国民の心がけ次第でそうなるのは可能なことですが、私には、どうもそうは思えないのです。

 今までアメリカは、いわゆる「双子の赤字」の削減あるいは解消のために、いろいろな努力をしてきました。
 プラザ合意で日本に大幅な円高を強いたこともその一環でした。住宅バブルの債権を証券化して外国から金を調達する努力をして、その結果世界中の金融機関が多く深手を負いました。強い反省もあったようです。

 長期的に見れば、$1=¥360が80円を割り込むまでにドル安政策をとってきたわけです。国内では、バイ・アメリカン政策から、今回のTPPまで、輸入制限や輸出促進策を含め、多種多様な方途を、場合によっては力ずくや、アメリカにより有利なデファクト・スタンダードの導入なども交えて展開し赤字削減の努力をしてきています。

 それにも拘らず、経常赤字は解消しないのですから、これは「肥満」や「喫煙」「アルコール依存」と同じように、本人(国)の性癖や気質によるもので、そう簡単に修正が出来る問題ないように感じるからです。
 ずいぶん以前に書かせていただいた「国際競争力への誤解」で述べたように、キリギリスに「アリになりなさい」と言っても、これはそう簡単なことではないのです。

 更にもっと深読みすれば、シェールガス・オイルはあるだけ使えば終わりです。バイオ燃料目的が増加しているトウモロコシなどとの関係も微妙です。どこまで生産を増やすかはアメリカの長期世界戦略と関わります。こうした中で、アメリカは経常黒字国を望むのかどうか、アメリカの世界戦略の在り方が、何がしか見えて来るのではないでしょうか。