tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

いよいよ企業 (企業労使) の出番

2013年04月08日 11時31分01秒 | 経済
いよいよ企業(企業労使)の出番
 長い間、日本政府、日本銀行は、失われた20年に苦しむ日本経済に対し、殆ど本質的な手が打てませんでした。打つ手を封じられているといった思い込みのせいか、実体経済を乗っ取ったマネー資本主義の性質が解らなかったのか、余りに真面目過ぎてマネー資本主義否定で通していたためか、恐らくそれらの複合だったのでしょう。

 今回の新政策は、乾坤一擲、真面目過ぎる実体経済中心主義をはみ出して、アメリカ仕込みのマネー資本主義の中では「これが正解だ 」という政策に切り替えた結果と言えるのではないでしょうか。
 その意味で、政府・日銀は、まさに「一皮むけた」という事でしょう。

 もし、残る問題があるとすれば、それは、この円安転換が、腰折れになって、また円高の進行に戦々恐々としながら経営をしなければならないような状況に戻ることのないよう、政府・日銀はあらゆる知恵を絞り、政策を動員して、国際的にも、国内的にも、そうした認識を確りと将来に向けて長期的に定着させるためのに徹底して政策を継続することでしょう。

 これからの論議も、それを前提にしない限り、成り立たないということを、最初にお断りしておかなければならないと思います。

 さて、政府が役割を漸く適切に果たしてくれたということは、企業にとって、適切な経営環境が用意されたということに外なりません。多分日本の企業はそれに適切に反応して行動を起こし、日本経済を再建の軌道に乗せてくれるだろうと私は考えています。
 ただ些か心配なのは、余りに悪い環境が続きすぎたため、正常な感覚を喪失してしまっているようなケースがないかということです。
 
 円高は日本の国内コストを高めて、日本企業に国内で財やサービスを生産することを出来るだけ減らし、海外で生産することを強いてきました。
 その結果の企業の国外脱出、国内での付加価値創出の不振(経済のマイナス成長)雇用減、雇用の質の劣化、賃金減、所得格差拡大、(ひいては社会の劣化)だったわけです。

 ですから円安に戻ったということは、海外生産を順次国内生産に戻していくプロセス(円高の逆)を進めるチャンスであり、それこそが、日本経済再活性化のプロセスでなければなりません。
 もちろん、海外に出た仕事の中には、そのまま海外での付加価値生産を続け、国内では、より新しい、より高度な仕事に進んでいくというケースも数多ありましょう。
 しかし、低コストの生産を常に海外に求めるという習性からの脱却は、円安とともに、積極的に進められなければなりません。

 もともと、より良質の生産がより合理的に可能だったからこそ、日本経済は、プラザ合意で円高を強いられるまで、日本経済は「ジャパンアスナンバーワン」と世界の羨望の的だったのです。
 政府の政策転換に続いて、いよいよ企業の出番です。日本企業は、円安で割高になる海外生産の国内回帰、競争力の有利化する得意技の更なる発展、新たなより高度な財、サービスの国内生産の拡大を求めて、日本企業は「国内経営資源の徹底した活用」の積極的推進に着手すべきです。

 ここでいう企業とは、労使双方を含む企業全体です。それこそが、今後の安定した経済成長、雇用・賃金の着実な改善に必須のプロセスです。そして、そのカギとなるのが、日本の労使の信頼、協力関係です。