tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

様変わりの日本経済、今後は?

2013年04月05日 14時30分09秒 | 経済
様変わりの日本経済、今後は?
昨日、今日で日本経済は様変わりになりました。
 昨日の昼過ぎまでは$1=¥92台まで円高傾向が進み、日経平均は200円を超す下げになって、アベノミックスも化けの皮が剥がれて、また円高のトレンドか?といった疑心暗鬼もあったようですが、日銀の政策決定会合の結果が発表された途端、日本経済という舞台は、あっという間にどんでん返しになりました

 戦後最大の不況と言われた昭和40年不況からの脱却が当時の福田赳夫蔵相の、「国債を発行します」という一言で反転上昇に転じ「いざなぎ景気に」入ったように、今回は黒田日銀新総裁の予想外の超金融緩和、「兵力の逐次投入ではなく『一挙大量投入』こそが大事」という一言で、まだ24時間もたっていないのに$1=¥97台まで円安になってきました。

 昨年2月、このブログで、今、一発で景気が回復する言葉は「これ以上円高にはしません」と言いう一言だ、と書きましたが、今回の日銀の新政策は、まさにそれを内包し、それを超える政策的インパクトを持ったようです。

 今回の日銀の新政策は、極めて巧みに練り上げられているように思います。政策基本に据えられているのは「デフレ脱却」で、そのシンボルは「2パーセントのインフレターゲット」です。これはアメリカが掲げる目標と同じですから、アメリカとしても、自分がやっているのに、「日本はやってはだめ」とは言えないでしょう。

 しかし、デフレをインフレに転換するためには、「円安」というプロセスを通らなければ不可能です。もともと過度な円高で、世界で最も高いと言われる日本の物価が、国際価格に向かって下がるのは、水は低きに就くのと同じで、自由経済の自然現象です。日本の物価のインフレ化は、日本の物価が国際価格に面合わせしたところから始まるのです。それを可能にするのは円安だけです。

 日銀は、円安を目指すとは言いません。マーケットが円安にしているのです。$1=¥110~120になれば、日本の国内物価水準も、国際水準に面合わせとなるでしょう。その辺りから、インフレが具体的に日本経済の問題になるでしょう。

 問題は、マネーマーケット、国際投機資本の反応ですが、彼らの目指すのは、超短期のキャピタルゲインの極大化です。レバレッジをかけて、常にリスクを意識しながらの投機です、ですから政策当局の態度には、常に神経質で、極めて敏感に反応します。
 その反応を先読みして、巧みに彼らの反応を利用することが、今日の経済政策、金融政策の要諦のようです。