tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円安と労使の果たすべき役割

2013年02月01日 10時34分34秒 | 労働
 Tnlaboあたりがこの問題を取り上げてもどうにもならない、こんな大事な問題は、労使の中央組織(連合と経団連)の研究と論争に任せておけばいいのだというのが正論でしょう。
 しかし時には、全く利害関係のない第三者であるtnlaboの発言が意外に正鵠を射ていて、何かの役に立つかもしれないと思って、敢て書いてみる次第です。

 その背後にはこんな思いがあります。前回、失礼ながらちょっと触れましたが、数多の経済学者、経営学者がいながら、プラザ合意以降の円高の中で、円高の本当の恐ろしさを理解した人が皆無に近く、政府も日銀も、円高を「市場のなせる業」と放置し、結局、失われた20年に繋がってしまったと書かせて頂きました。

 今回安倍さんが、国際投機資本の思惑を手玉に取り、「勝手で我が儘な国際世論」に抗して、力づくの円安転換をしたことはまさに称賛に値すると思います。これがなかったら、日本経済は未だに「いつ円が70円台、60円台、果ては50円台の円高になるかと戦々恐々で、投資や生産活動は海外に移転し、GDPは縮小、雇用は増えず賃金目減りの恐怖にさらされ続けていたでしょう。

 幸いなことに、安倍政権の力ずくで実現した円安が、持続する可能性も出て来ました。1つは日本経済の経常黒字の縮小、もう1つは、アメリカのシェールガス・オイルの産出です。さらに言えば、日本人自体が、円高を安易に認めてきた愚かさを知ったことでしょう。

 これを前提に、円安転換で取り返した、今までの「円高による円ベースの付加価値の損」の分配の当事者である労使が何をすべきか考えてみましょう。10パーセントの円安が生み出す10パーセントの付加価値の使途です。

 例えば、職を失った人、正規で働きたいのに、非正規を余儀なくされている人、就職氷河期に犠牲になった学卒者、などが先ず救われなければならない人達ではないでしょうか。その為に社会人としての適切な導入教育も、職業訓練も受けられず、技能も知識も持てず、一人前の産業人に育っていない人々。

 正社員の賃金引き上げも大事かもしれませんが、失われた20年で最も皺の寄った人たちから順に円安の恩恵を分配するという気持ちで考えるのがいいような気がします。比較的恵まれていた公務員や大企業の正社員よりも優先してあげたい気持ちです。
  円高是正が本物になれば、それをやっても、10パーセントの付加価値増を活用すれば、まだまだ企業の増益や、賃金全体の底上げの余裕がはあるでしょうし、何よりも、これからの経済成長による付加価値の増加が、企業、そこで働く人たちの継続的な所得増が可能になるからです。

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  今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。
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