tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国民(労使)がどこまで理解しているか

2013年02月08日 11時41分44秒 | 経済
国民(労使)がどこまで理解しているか
 我々の家計も国民経済も、基本は同じです。稼ぎの中でやりくりしなければいけません。稼ぎ以上の暮らしをしていれば、足りない分は借金しなければなりません。それが続けば、誰も金を貸してくれなくなり生活が行き詰まって、犯罪か夜逃げしかなくなります。

 何故そんなことになるのでしょか、多分心が弱くて、自分で自分を規制できず、ついつい借金して贅沢に走るのでしょう。イソップ童話でいえば「キリギリス型」です。
 反対は「アリ型」で、自制心を持ち、自分の稼ぎの中で堅実に暮らし、貯蓄もします。

 ところで、国の場合、「稼ぎ以上の暮らし」とはどういう事でしょうか。国の1年間の稼ぎはGDPです。GDPは大まかに言えば、雇用者報酬(総賃金)と法人・個人企業の所得(利益)と財産所得(利息や配当など)と減価償却費(建物や機械の年々の減価)になります。
 国や地方自治体は、賃金と利益から税金を取り、それでいろいろな政策をやります。

 家計や企業は、税引き後の所得で生活や業務をやります。政府は歳入と歳出のバランスを取ります。しかし、中には、赤字の家計や、赤字の企業も出てきます。赤字の家計や企業が増えると、政府への生活補助や減税要求が強くなります。政府がそれにこたえると、得票数は上がるかもしれませんが、政府の歳出が増え、税収は増えません。しかし、増税は難しいので、国債発行(国民からの借金)をします。国民の貯蓄があれば国民が国債を買ってくれますが、なければ外国や国際機関から借金したり、国債を外国に買ってもらったりすることになります。

 そうなるということは、国全体として赤字だということです。国全体が赤字かどうかは「経常国際収支で見れば一目瞭然です。日本やドイツは黒字、アメリカ、ギリシャ、スペイン、イタリア、などは赤字です。
 あまり赤字が嵩んでくると、外国も金を貸さなくなります。そこで高い利息をつけて借りようとします。支払金利が増えて、ますます赤字になります。個人なら最後はサラ金に駆け込むことになるというところでしょうか。

 最近問題になった、ギリシャやスペインの問題は、まさにこれです。国は夜逃げをするわけにはいきませんからIMF(国際通貨基金)やヨーロッパ中央銀行がカネを貸すことになって、周りの国も一応安心して落ち着いていますが、ギリシャやスペインには、国民は生活を切り詰めて、早く赤字をなくすようにという注文が付けられています。
 国民の多くは「努力します」と言いますが、中には「そんなうるさいことを言う政権は変えてしまえばいい」と、デモや投石をやって政権を変えればいいと思っている人たちもいて、困ったものです。

 政権を変えても借金はチャラにはなりません。結局は、収入の中で生活をしなければならないのですし、最初からそうしていれば、ユーロ問題など起こらなかったわけで、すべての根源は、生産性基準で賃金決定が出来るかどうかという、国民の理解のレベル、もっと具体的には労使関係の問題なのです。
 アメリカの場合はまだその先があります。