tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2パーセント目標:試行錯誤の暫定目標

2013年02月15日 11時56分44秒 | 経済
2パーセント目標:試行錯誤の暫定目標
  G8が終わりましたが、大方の意見は、日本に円安誘導と文句を言いたいが、どんないい方で文句を言ったらいいのか良く解らないからでしょうか、あからさまな日本非難はなかったようです。

 麻生さんも、「市場に任せる」という言い方を一応受け入れ、今の市場は健全ではないとまでは踏み込まず、何となくもやもやしたところで終わっています。

 国内では、円レートと株価水準が気迷い症状の中で、円レートの目標値についての意見が幾つか出ていますが、大方の所は$1=¥100~110辺りのようです。
そんなところで、日本の意見がはっきりしてくれば、将来もう少し具体的な展開があるかもしれません。

 今回の経験で、円高→物価下落、円安→物価上昇、という因果関係が、多くの人に理解されてきましたが、では、言われている$1=¥100~110という数字と、2パーセントのインフレ目標を理論的に繋げる計算が出来るのかというと、それは無理でしょう。

 前回も触れましたように、2パーセントというのは、全くの腰だめで、アメリカが2パーセントと言っているから、それより低くてはまずいからという事でしょうから、さて、これからどうやって2パーセントに合わせようかという「微調整への試行錯誤が始まる」と考えるべきでしょう。

 私は、個人的には、目標としては1パーセントの方がいいと思いますが、まあ2パーセントまでなら、いいでしょうか。

 ところで、現実に発生し始めている問題があります。石油値上がりによる、ガソリン、灯油、電力などの上昇です。安倍政権による3本の矢のうち、現実に出ている影響は第1の矢、金融面だけで、それも実際にお金が回り始めたというより、いわば口先介入で、為替が動いただけの段階です。

 今後はっきりさせて行かなければならないのは、これは円高是正分と、国際的な原油価格等(ドル建て)の上昇による分の区別で、後者は、アベノミクスとは無関係ですから、これをごっちゃにしていたのでは、1パーセントではなく2パーセントだといった微調整は無意味になるでしょう。

 さらに今春闘で、労働組合が、「賃金決定は労使の問題」と自重しているのに、安倍政権は、賃上げをしてくれ、と財界に要望しています。賃上げは、実質経済成長によって可能になるもので、ただ賃上げをすればそれはストレートにインフレにつながります。
 安倍政権は、この経済成長と賃上げとインフレの関係を抑えたうえで、どれだけ賃上げをしろというのでしょうか。 (組合も本心「有難迷惑」と感じているようです)

 本来、インフレターゲットというのは、「進行するインフレをいかに抑えるか」を考える所得政策の中で生まれたもので、デフレ脱出とは無縁のものです。
 $1=¥110という時代になれば、いよいよ、本来のインフレターゲットが問題になるでしょう。もちろん3本の矢は大事です。その中でインフレの性質を読み違えないようにすることが、今後の安倍政権には要求される課題になるでしょう。