tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

世界経済は将来どちらを選ぶか:金融機能のあり方 3

2012年04月06日 12時11分40秒 | 経済
世界経済は将来どちらを選ぶか:金融機能のあり方 3
 経済的に成熟した国では、多くの家計が蓄積資産を持っています。いろいろな形の年金資産も積み上がっています。問題の根底には、この蓄積資産を安全なものとして蓄積しておけるかという問題があるわけです。

 先に2月から3月にかけてAIJの問題 に絡んで、「蓄積社会に必要な金融の安定」について書かせていただきました。世界最大の個人金融資産を擁する日本、これからの超高齢化社会を乗り切らなければならない日本にとってこの必要性は極めて高いと思われます。

 ところが日本の政府がとってきた政策はどうでしょうか。その必要性が高まるのに反比例するように、金融資産の安定が損なわれてきました。確定利付き預金から投資信託への誘導、元本保証金融商品の減少、ペイオフ制度の導入、厚生年金積立金の海外不安定運用、企業年金の確定拠出制度の導入、などなど。
 結果的に、銀行の従業員が、投資信託を売り歩いて、その手数料で給料を貰うような始末です。

 これらはすべて金融機関も政府も、リスクを背負わず、リスクがあれば、それは顧客の責任だとして、顧客にパスしてしまうという安易な金融システムへの移行に外なりません。

 これを遡れば、日本の金融機関が、ローリスク・ローリターンを良しとする安定の哲学から、ハイリスク・ハイリターンも狙おうというギャンブル体質に変わってきたからで。その背後にあるのは、アメリカをはじめ万年赤字を垂れ流す国々が、赤字をファイナンスするために推し進めた、歪んだ金融自由化に、人の好い日本政府が見事に乗せられた、という事でしょう。

 仕事に就けない若者がFXに溺れ、官僚の出身のファンド経営者が「儲けて何が悪い」と捨て台詞を言ったように、かつては「額に汗した金」と「あぶく銭」を峻別出来た日本人の健全な金銭感覚は、次第に蝕まれています。

 こんな恐ろしいことが20年、30年かけて、進んできているのです。
「日本はだれかについていけばいい」という時代はとっくに終わっているのです。日本が本来の日本の「心」を取り戻し、日本の政権担当者を始め、日本の多くのリーダーたちが、生真面目な「日本の心」によって、世界に貢献出来るようになることが、世界の安定にとって必要という気概を持つべきでしょう。